米国の5~18歳の小児喘息患者について、薬剤費の自己負担額が増えるにつれ、喘息治療薬服用日数がやや減少し、一方で喘息による入院件数が増大することが明らかにされた。米国・ミネソタ大学のPinar Karaca-Mandic氏らが、約9,000人の18歳以下の喘息患者について調べた結果で、JAMA誌2012年3月28日号で発表した。米国では近年、民間医療保険会社が、薬剤費の患者自己負担を増加してきているという。そのことによる小児患者への影響については明らかにされていなかった。
年間喘息治療薬自己負担は、約150ドル
研究グループは、1997~2007年に治療を開始した、小児喘息患者8,834人について、薬剤費の自己負担額と、喘息治療薬の使用量、喘息による入院や救急外来受診との関連について、後ろ向きに調査を行った。調査対象となったのは、37の雇用主で、追跡期間は1年間だった。
被験者の平均年齢は7.3歳、うち男子が59.9%だった。追跡期間中の、喘息治療薬自己負担額の年間平均は、5~18歳(5,913人)が154ドル(95%信頼区間:152~156)、5歳未満(2,921人)が151ドル(同:148~153)だった。
追跡期間1年の間に、被験者のつい5~18歳が喘息治療薬を服用した日数は平均40.9%、喘息による入院は220人(3.7%)だった。5歳未満は、喘息治療薬服用日数は平均46.2%、喘息による入院は231人(7.9%)だった。
薬剤自己負担額最高四分位範囲の入院は2.4/100児、最低同範囲は1.7/100児
喘息治療薬の服用日数についてみると、5~18歳では、自己負担額が最も少ない四分位範囲群41.7%に対して、最も多い四分位範囲群は同40.3%と有意に少なかった(p=0.02)。5歳未満では、こうした有意差は認められなかった。
また、補正後の喘息による入院についてみると、5~18歳では、自己負担額最高四分位群が2.4/100児(同:1.9~2.8)だったのに対し、最低四分位群は1.7/100児(同:1.3~2.1)と、有意に少なかった(p=0.004)。5歳未満の被験者では、こうした格差はなかった。
なお、救急外来受診については、薬剤自己負担額による有意差は認められなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)