尋常性乾癬に対する、brodalumab(開発コードAMG 827)の有効性と安全性を検討した第2相試験の結果が報告された。brodalumabは、抗IL-17受容体完全ヒト抗体で、第1相試験において、1回700mg投与の6週間時点での相当な改善が示され、本試験では用量プロファイルが模索された。乾癬は、米国では人口の2~3%、欧州では0.6~6.5%に存在するとされる慢性T細胞自己免疫疾患で、皮膚細胞が炎症症状を起こし角化するのが特徴で、最近の研究で、その発現にIL-17が関わっていることが明らかになっている。カナダ・Probity Medical ResearchのKim A. Papp氏らによる本報告は、NEJM誌2012年3月29日号で発表された。
重症度の高い患者を4段階の用量別に無作為化
Papp氏らによる、第2相無作為二重盲検プラセボ対照用量探索試験は、乾癬面積・重症度指数(PASI、0~72までのスコアで、高いほど重篤であることを示す)が12以上で、体表面積の10%以上が乾癬病変である患者198例を、brodalumab(用量70mg、140mg、210mg を1日目と1・2・4・6・8・10週目に、または280mgを月1回)、またはプラセボを投与する群に、無作為に割り付け行われた。
主要エンドポイントは、12週時点のPASIスコアのベースラインからの改善率とした。副次エンドポイントは、12週時点のPASIスコア75%以上の改善、同90%以上の改善、医師による総合評価(sPGA)スコアとした。
重症度、医師の総合評価とも、有意に改善
12週時点のPASIスコア平均改善率は、brodalumab用量70mg群45.0%、140mg群85.9%、210mg群86.3%、280mg群76.0%で、プラセボ群は16.0%だった(プラセボとの全比較におけるP<0.001)。
12週時点のPASIスコア75%以上の改善は、brodalumab用量140mg群(77%)、210mg群(82%)で報告され、プラセボ群は0%であった。また、同90%以上の改善は、140mg群で72%、210mg群で75%であったのに対し、プラセボ群は0%だった(全比較のP<0.001)。
sPGAの結果、症状が消失または最小と評価された患者の割合は、プラセボ群3%であったのに対し、brodalumab用量70mg群で26%、140mg群85%、210mg群80%、280mg群69%だった(いずれもプラセボとの比較のP<0.01)。
安全性については、brodalumab用量210mg群でグレード3の好中球減少症が2例報告された。すべて用量brodalumab群を合わせた中で、最も高頻度に報告された有害事象は鼻咽腔炎(8%)、上気道感染症(8%)、注射部位紅斑(6%)だった。
研究グループは、「12週投与の第2相試験の結果、brodalumabは、尋常性乾癬を有意に改善したことが認められた」と結論している。
(朝田哲明:医療ライター)