高血圧症患者の上腕収縮期血圧の左右差が10mmHg以上ある人は、全死因死亡リスクが3倍以上増大するという。英国Exeter大学のChristopher E Clark氏らが、高血圧症の治療を受ける230例を約10年間追跡して明らかにした。同左右差は、心血管イベントや心血管死リスクの増大にも関与しており、Clark氏は、「同左右差は、心血管リスク増大の有用なインジケーターとなり得る」と結論している。BMJ誌2012年4月7日号(オンライン版2012年3月20日号)掲載報告より。
上腕収縮期血圧の左右差、10mmHg以上の人24%、15mmHg以上は9%
研究グループは、英国農村部Devonのプライマリ・ケア施設で、高血圧症の治療を受けている230人について、左右の上腕収縮期血圧を測定し、その左右差と心血管イベントや死亡リスクとの関係を分析した。上腕収縮期血圧値については、3回の測定値の左右差平均値を用いた。
追跡期間の中央値は、9.8年だった。
その結果、上腕収縮期血圧の左右差が10mmHg以上だったのは被験者の24%にあたる55人で、同15mmHg以上だったのは9%にあたる21人だった。
両側性の血圧測定を、プライマリ・ケアでルーチンに
上腕収縮期血圧の左右差が10mmHg以上と15mmHg以上は、全死因死亡リスクの増大に関連しており、補正後ハザード比はそれぞれ3.6(95%信頼区間:2.0~6.5)と3.1(同:1.6~6.0)だった。また、同左右差は、心血管イベントや心血管死リスクの増大にも関与していた。
被験者のうち、心血管疾患既往歴のない183人についてみたところ、上腕収縮期血圧の左右差が10mmHg以上と15mmHg以上の人の全死因死亡リスクは有意に増大し、補正後ハザード比はそれぞれ2.6(同:1.4~4.8)と2.7(同:1.3~5.4)だった。
上腕拡張期血圧の左右差も、心血管疾患リスクや死亡リスクの増大に関与していたが、その程度は収縮期血圧よりも小さかった。
Clark氏は、「上腕収縮期血圧の左右差は、10年間の心血管イベントリスク増大および全死因死亡増大を予測する可能性がある。心血管リスク増大の有用なインジケーターとなり得るものだ」と結論し、「両側性の血圧測定を、プライマリ・ケアでルーチンに組み込むべきである」と提言している。