慢性虚血性心不全に対する自己骨髄単核細胞の経心内膜注入、改善効果は?

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2012/05/15

 



慢性虚血性心不全に対する自己骨髄単核細胞(BMC)の経心内膜注入手技について、左室収縮終末期容積(LVESV)や最大酸素消費量などの心機能の改善は認められなかったことが報告された。米国・Texas Heart InstituteのEmerson C. Perin氏らが行った、2つのプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月25日号で発表した。

92人を無作為化、6ヵ月後のLVESVや最大酸素消費量などを比較




研究グループは、2009年4月29日~2011年4月18日にかけて、慢性虚血性心不全で左室機能不全が認められる患者(NYHA心機能分類II~IIIまたはカナダ循環器学会分類法II~IV、LVEF<45%、SPECTで血流欠損認める)92人を無作為に2群に分け、一方の群(61人)には自己骨髄単核細胞(BMC)の経心内膜注入(1億BMC)を行い、もう一方の群(31人)にはプラセボを注入した。

被験者は、CCTRN(Cardiovascular Cell Therapy Research Network)を後援する5つのNHLBI(National Heart, Lung, and Blood Institute)で治療を受けている患者で、平均年齢63歳、男性が82人で、同治療法以外には血行再建の方法はなかった。

主要エンドポイントは、6ヵ月後の、心エコーによるLVESV、最大酸素消費量、SPECTによる可逆性の所見だった。

LVESV、最大酸素消費量、可逆性のいずれの変化にも両群で有意差なし




その結果、LVESV指標の6ヵ月後の変化について、BMC群とプラセボ群で有意差はなかった(-0.9mL/m2、95%信頼区間:-6.1~4.3、p=0.73)。最大酸素消費量の平均値の変化量も、両群で有意差はなかった(1.0、同:-0.42~2.34、p=0.17)。さらに可逆性についても、その変化量は両群で同等だった(-1.2、同:-12.50~10.12、p=0.84)。

副次エンドポイントとして評価した心筋梗塞欠損割合や総欠損量、臨床的改善なども、BMC群とプラセボ群で有意差は認められなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)