単純性急性虫垂炎への一次治療には、抗菌薬投与のほうが切除術に比べ、合併症リスクは3~4割低減することがあきらかにされた。英国・ノッティンガム大学病院のKrishna K Varadhan氏らによる、4つの無作為化比較試験の被験者900人を対象にしたメタ解析の結果で、BMJ誌2012年5月5日号(オンライン版2012年4月5日号)で発表した。
合併症、治療有効性や入院期間、複雑性虫垂炎などを比較
同研究グループは、4つの無作為化比較試験に参加した単純性急性虫垂炎の患者、計900人について、一次治療としての抗菌薬投与と虫垂切除術の治療アウトカムについて、メタ解析で比較した。被験者のうち、抗菌薬投与を受けたのは470人、虫垂切除を行ったのは430人だった。
主要アウトカムは、合併症発症率とし、副次アウトカムは、治療有効性、入院期間、複雑性虫垂炎と再入院とした。
抗菌薬治療群の合併症リスク31~39%減、治療成功率は63%
その結果、抗菌薬治療群は虫垂切除群に比べ、合併症発症リスクが31%低かった(リスク比:0.69、95%信頼区間:0.54~0.89、p=0.004)。
抗菌薬投与群から虫垂切除群へ移行した患者を除いて2次分析を行ったところ、抗菌薬治療群は虫垂切除術群に比べ、合併症発症リスクは39%低かった(リスク比:0.61、同:0.40~0.92、p=0.02)。
抗菌薬治療群の治療成功率は、63%(438人中277人)だった。同群20%が症状再発のため再入院し虫垂切除を行ったが、そのうち穿孔性虫垂炎が認められたのは9人、壊疽性虫垂炎は4人だった。
副次アウトカムの、治療有効性、入院期間、複雑性虫垂炎発症リスクについては、両群で有意差はなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)