推定GFRによる死亡や末期腎疾患予測、CKD-EPI式がMDRD式より正確に

提供元:ケアネット

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公開日:2012/05/22

 



推定糸球体濾過量(eGFR)による死亡や末期腎疾患発症の予測は、CKD-EPI(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration)式のほうがMDRD(Modification of Diet in Renal Disease)式より正確であることが示された。米国・Johns Hopkins大学のKunihiro Matsushita氏らが、45のコホート試験、被験者総数110万人について行ったメタ解析の結果で、JAMA誌2012年5月9日号で発表した。先行研究で、CKD-EPI式のほうがMDRD式より、GFR予測が正確であることはわかってきているが、腎疾患関連リスクとの関係については明らかではなかった。

コホートの平均追跡期間中央値は7.4年、延べ940万人・年追跡




研究グループは、25の一般地域住民を対象としたコホート試験と、7つのハイリスク被験者からなるコホート試験、13の慢性腎疾患患者が参加したコホート試験についてメタ解析を行い、CKD-EPI式とMDRD式による、死亡や末期腎疾患リスクの予測能について比較した。被験者数の合計は、約110万人(18歳以上)で、2011年3月~2012年3月の間に収集解析された。

主要アウトカムは、全死因死亡(40コホート、死亡者数:8万4,482人)、心血管疾患(28コホート、イベント数:2万2,176件)、末期腎疾患(21コホート、イベント数:7,644件)とした。総計940万人・年、平均追跡期間中央値は、7.4年(範囲:4.2~10.5年)だった。

eGFRは両式によって、6カテゴリーが設定された(≧90、60~89、45~59、30~44、15~29、<15、単位:mL/min/1.73m2)。
CKD-EPI式で全死因死亡、心血管疾患死、末期腎疾患の予測能向上




MDRD式と比べてCKD-EPI式によって、一般地域住民コホートの24.4%がより高値のeGFRカテゴリーに、同0.6%がより低値のeGFRカテゴリーに再分類された。また、CKDステージ3~5の人の有病率は8.7%から6.3%へ低下した。

MDRD式でeGFRが45~59mL/min/1.73m2だった人のうち、34.7%が、CKD-EPI式によってeGFR60~89mL/min/1.73m2に再分類された。再分類された人はされなかった人に比べ、主要アウトカム発生率はいずれも低く、それぞれ全死因死亡率は9.9/1,000人・年と34.5/1,000人・年、心血管疾患死亡率は2.7/1000人・年と13.0/1,000人・年、末期腎疾患発症率は0.5/1,000人・年と0.8/1,000人・年だった。補正後ハザード比は、全死因死亡が0.80、心血管疾患死が0.73、末期腎疾患が0.49だった。

同様の所見は、MDRD式による他のカテゴリーでも認められ、eGFRカテゴリーごとのネット再分類改善度(Net Reclassification Improvements ;NRI)は、すべてのアウトカムについてプラスとなった。NRI改善は、年齢(65歳未満と65以上との比較)、性、人種(白人、アジア系、黒人)、糖尿病や高血圧の有無というサブグループ群で同様にプラスとして認められた。ハイリスクコホート、CKDコホートでの結果は、一般地域住民コホートの結果とおおよそ一致していた。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)