経皮的冠動脈インターベンション(PCI)のアウトカムは、心臓外科のある病院とない病院とで違いがあるのか。PCIは通常、心臓外科のある病院に限定されるが、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のThomas Aversano氏らは、両者を比較する無作為化試験を行った。結果、「心臓外科がない病院の、ある病院に対する非劣性が認められた」と結論する報告が発表された。NEJM誌2012年5月10日号(オンライン版2012年3月25日号)掲載報告より。
術後6週間の死亡率と、9ヵ月間の有害心イベント発生を検討
試験は2006年4月7日から2011年3月31日の間に、全米10州の心臓外科のない60病院の協力を得て、被験者を登録し行われた。同院に心臓カテーテル検査を要するとして受診した、18歳以上、安定性冠動脈疾患または急性冠症候群でPCIを要した患者を試験適格として登録した。ST上昇型急性心筋梗塞やPCIハイリスクの患者、プライマリPCIを要した患者は除外された。
被験者は、心臓外科のある病院と、ない病院のいずれかでPCIを受けるよう無作為に割り付けられ、アウトカムについて、ない病院のある病院に対する非劣性を検討された。
無作為化された被験者1万8,867例。3対1の割合で、心臓外科のない病院でPCIを受ける群(1万4,149例)、または心臓外科のある病院でPCIを受ける群(4,718例)に割り付けられた。
主要エンドポイントは2つで、術後6週間の死亡率と9ヵ月間の主要有害心イベント(死亡、Q波心筋梗塞、標的血管血行再建術施行の複合)発生率とした。
リスク差の非劣性マージンは、6週間の死亡率については0.4ポイント、9ヵ月間の主要有害心イベントについては1.8ポイントとした。
主要エンドポイントに有意差認められず
結果、6週間死亡率は、心臓外科のない病院1.0%、ある病院0.9%だった(差:-0.04ポイント、95%信頼区間:-0.31~0.23、非劣性のP=0.004)。
9ヵ月主要有害心イベント発生率は、心臓外科のない病院12.1%、ある病院11.2%だった(同:0.92ポイント、0.04~1.80、非劣性のP=0.05)。
主要有害心イベントのうち、全死因死亡発生率(3.2%対3.2%)とQ波心筋梗塞発生率(3.1%対3.1%)については両者間に有意差は認められなかったが、標的血管血行再建術の施行率については心臓外科のない病院のほうが有意に高かった(6.5%対5.4%、P=0.01)。
(朝田哲明:医療ライター)