入院患者の心停止の発生・生存状況について、これまで時刻や曜日に着目した検討はされていなかった。Virginia Commonwealth UniversityのMary Ann Peberdy氏らは、夜間および週末では異なる発生・生存パターンがあるのではないかと仮定し、確認を試みた。JAMA誌2008年2月20日号にて掲載されている。
全米86,748人の登録データを解析
検討は、「夜間」および「週末」に起きた心停止後の結果が、「日/夕方」「平日」と比較して異なるかどうか、心停止から1時間ごとの生存率を調査し行われた。「日/夕方」:午前7時00分~午後10時59分、「夜間」:午後11時00分~午前6時59分、そして「週末」:金曜日午後11時00分~月曜日午前6時59分と定義。全米507医療施設からの心停止イベント記録が登録されているNational Registry of Cardiopulmonary Resuscitationから、2000年1月1日~2007年2月1日の成人86,748人のデータが解析された。
主要転帰は「退院生存」、第2転帰は「生存(20分以上の自発循環回復)」「24時間生存」「神経学的転帰良好」とし、オッズ比と多変量ロジスティック回帰分析を用いて比較された。
退院生存:夜間14.7% 対 日/夕方19.8%。週末格差はなし
時間帯で見ると、「日/夕方」発生が58,593例(平日43,483例、週末15,110例)、「夜間」発生は28,155例だった(平日20,365例、週末7,790例)。
退院生存は「夜間」14.7%に対し「日/夕方」19.8%、20分以上の自発循環回復44.7%対51.1%、24時間生存28.9%対35.4%、神経学的転帰良好11.0%対15.2%で、「夜間」のほうが「日/夕方」に比べて実質的に低かった(すべてP<0.001)。
また「夜間」の発生パターンとして、不全収縮が頻繁だったこと(39.6%対33.5%、P<0.001)、心室細動が少なかったこと(19.8%対22.9%、P<0.001)が確認された。
「日/夕方」発生の生存を「平日」と「週末」で比較してみると、前者のほうが高い(20.6%対17.4%、オッズ比:1.15)。ただし「夜間」発生の退院生存は、「平日」と「週末」でほとんど違いはみられなかった(14.6%対14.8%、オッズ比1.02)。
以上から Peberdy氏らは、「患者、イベント、病院特性因子を調整しても、入院患者の心停止からの生存率は、夜間と週末でより低い」と結論づけている。
(武藤まき:医療ライター)