米国立衛生研究所(NIH)のNeal D. Freedman氏らによる、50~71歳の男女約40万人を対象に、コーヒー摂取とその後の全死亡および死因別死亡との関連を調べた結果、逆相関の関連が認められたことが報告された。ただし、その結果がコーヒー摂取によるものなのかどうか、あるいはコーヒー摂取が関連しているのかどうかは今回のデータからは判然としなかったと補足しまとめている。コーヒーは広く消費されている飲料の1つであり、抗酸化作用や生理活性作用の源となる物質を豊富に含むことが知られているが、死亡リスクとの関連は明らかとなっていない。NEJM誌2012年5月17日号掲載報告より。
50歳以上の40万人を13年間追跡
Freedman氏らは、NIH-AARP食事健康調査に参加した、基線50~71歳の男性22万9,119人および女性17万3,141人を対象に、コーヒー摂取とその後の全死亡および死因別死亡との関連を調べた。がん、心疾患、脳卒中に罹患した参加者は除外された。コーヒー摂取についての評価は基線で1回行われた。
1995~2008年のフォローアップ期間中、514万8,760人・年のうち死亡は、男性3万3,731人、女性1万8,784人だった。年齢補正モデルにおいて、コーヒー摂取者での死亡リスク増加が認められた。しかし、コーヒー摂取者では喫煙者も多く、喫煙状態と他の潜在的交絡因子で補正したところ、コーヒー摂取と死亡率の間には有意な逆相関が認められた。
がんによる死亡では逆相関みられず
コーヒーを飲む男性について、飲まない男性と比較した死亡補正ハザード比は以下のとおりであった。
1日当たり1杯未満摂取では0.99(95%信頼区間:0.95~1.04)、1杯0.94(同:0.90~0.99)、2~3杯0.90(同:0.86~0.93)、4~5杯0.88(同:0.84~0.93)、6杯以上0.90(同:0.85~0.96)(傾向のP<0.001)。
女性のハザード比はそれぞれ、1.01(同:0.96~1.07)、0.95(同:0.90~1.01)、0.87(同:0.83~0.92)、0.84(同:0.79~0.90)、0.85(同:0.78~0.93)だった(傾向のP<0.001)。
なお疾患別にみると、心疾患、呼吸器疾患、脳卒中、外傷、事故、糖尿病、感染症による死亡では逆相関がみられたが、がんによる死亡では同関連はみられなかった。これらの結果は、喫煙歴がない人、基線の健康状態が良好ないしは特に良好と報告した人のサブグループでも同様だった。
(朝田哲明:医療ライター)