英国の成人重症敗血症患者の一般集中治療室への入院症例数と患者アウトカムの間に関連はないことが、カナダ・McGill大学のJason Shahin氏らの検討で示された。過去30年以上にわたり、種々の外科的、内科的疾患において、治療例数と患者アウトカムの関連の評価が行われている。腹部大動脈瘤の修復や特定のがん種、小児の心疾患の手術など複雑な手技では、症例数とアウトカムの間に強い関連を認め、AIDSや心筋梗塞などの内科的疾患でも症例数の多い施設での治療はアウトカムの改善が確認されている。症例数と人工呼吸器の使用や重症敗血症との関連や、重症敗血症における症例数-アウトカム関連を示唆する研究結果もあるという。BMJ誌2012年6月16日号(オンライン版2012年5月29日号)掲載の報告。
集中治療室入院症例数と患者アウトカムの関連を後ろ向きに評価
研究グループは、英国の成人敗血症患者の一般集中治療室への入院における、症例数と患者アウトカムの関連について検討するために、統合データベースを用いたレトロスペクティブなコホート試験を実施した。
客観的で標準化された重症敗血症の判定基準を満たし、2008~2009年に集中治療室に入院した患者を対象とし、救急病院からの最終的な退院時の死亡率について評価した。
症例数と重症度、人工呼吸器装着との間にも関連なし
一般化推定方程式を用いた多変量ロジスティック回帰分析で、入院症例数と院内死亡率の関連を評価したところ、英国の成人重症敗血症患者の一般集中治療室への入院症例数と患者アウトカムに関連はなかった。
サブ解析にて症例数と疾患の重症度、人工呼吸器装着との交互作用の検定を行ったところ、これらの間にも有意な関連は認めなかった。
著者は、「本試験では、成人重症敗血症患者の一般集中治療室への入院症例数と患者アウトカムに関連はみられなかった」とし、「今後は、症例数や一般集中治療室以外の要素に焦点を当てた検討を行うべき」と指摘している。
(菅野守:医学ライター)