死亡率は低下しなかった:敗血症性ショックでのvasopressin投与

提供元:ケアネット

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公開日:2008/03/12

 

vasopressinは、難治性敗血症性ショックにおいて血圧低下を改善するカテコールアミン製剤の補助薬として一般的に用いられるが、死亡率への影響は明らかにされていない。カナダのJames A. Russell氏らVASST研究グループ(Vasopressin and Septic Shock Trial)は、低用量vasopressin投与はノルエピネフリン(ノルアドレナリン)投与と比較して死亡率を低下させる、との仮説を立て臨床試験を行った。NEJM誌2008年2月28日号より。

敗血症性ショック患者に2剤を無作為に割り付け




敗血症性ショックでノルエピネフリンを最小用量5μg/分の投与を受けていた計778例の患者を、低用量vasopressin(0.01~0.03U/分)を投与する群396例と、ノルエピネフリン(5~15μg/分)を投与する群382例に無作為に割り付けた多施設共同無作為化二重盲検試験が行われた。いずれもプロトコルに従い、目標血圧を維持するために漸増・漸減。主要エンドポイントは注入開始から28日後の死亡率とした。

28日後、90日後の死亡率などで有意差見いだせず




結果は、vasopressin群とノルエピネフリン群の投与開始28日後死亡率(それぞれ35.4%と39.3%、P = 0.26)、90日後死亡率(同43.9%と49.6%、P = 0.11)のいずれでも有意差は認められなかった。また、少なくとも1つの深刻な有害事象の発生率においても、全体として有意差は確認できなかった(同10.3%と10.5%、P = 1.00)。

敗血症性ショックの重症度がより低いとされていた患者群では、vasopressin群はノルエピネフリン群より28日後の死亡率が低かった(26.5%対35.7%、P = 0.05)。一方、重篤とされていた患者群では、28日後死亡率に有意差はなかった(同44.0%と42.5%、P = 0.76)。この2階層間に不均質性の有意性は見いだされなかった(P = 0.10)。

これらの結果から研究グループは、カテコールアミン系昇圧薬の投与を受けている敗血症性ショック患者に、低用量vasopressinの投与を用いても、ノルエピネフリン投与と比較して死亡率は低下しなかったと報告した。