リウマチ性心疾患の二次予防高めるためにも心エコースクリーニングを

提供元:ケアネット

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公開日:2007/08/15

 

リウマチ性心疾患の有病率に関する疫学研究を見ると、疑いのある症例が見いだされると心エコーで確認するという臨床的スクリーニング法が用いられていることが明らかである。パリ・デカルト大学のEloi Marijon氏らは、調査対象すべての小児に対して心エコースクリーニングを施行すれば、リウマチ性心疾患の有病率は有意に高くなると仮説を立て両スクリーニングによる検出に違いがないかを検討した。背景には、公衆衛生の上で重要な意義を持つのではないかとの考えがあっての研究報告。NEJM誌8月2日号に掲載された。

心エコーは予想通りの高率でリウマチ性心疾患を確認


本試験はカンボジアとモザンビークの小児を対象に行われた。ランダムに選ばれた6~17歳の学童に対し、リウマチ性心疾患の有無について、標準的な臨床的スクリーニング法と心エコースクリーニング法とを比較している。

その結果、臨床的スクリーニング法では、カンボジアでは3,677人中8例に、モザンビークでは2,170人中5例にリウマチ性心疾患が検出された。有病率(95%信頼区間)は、カンボジア1,000対2.2(0.7-3.7)、モザンビーク1,000対2.3(0.3-4.3)である。

一方の心エコースクリーニングでは、カンボジアで79例、モザンビークでは66例を検出した。有病率(95%信頼区間)は、カンボジア1,000対30.4 (16.8-26.2)、モザンビーク1,000対21.5(23.2-37.6)だった。検出された症例の大半(カンボジア87.3%、モザンビーク 98.4%)で、僧帽弁の病変が関与していた。
二次予防に生かせるスクリーニング法の選択を示唆


臨床的スクリーニング法による有病率と、系統的な心エコースクリーニング法では、約10倍という非常に大きな開きがあった。

リウマチ性心疾患はしばしば重篤な予後をもたらす。しかし初期症状の正確な診断が得られれば二次予防が有効となる。Marijon氏らはその意味で、「公衆衛生の面で重要な意義を持つ結果が得られた」と結論づけた。

(朝田哲明:医療ライター)