合剤によるホルモン補充療法は介入中止後試験でもリスクがベネフィットを上回った

提供元:ケアネット

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公開日:2008/03/18

 

Women’s Health Initiative(WHI)試験は、米国国立衛生研究所(NIH)による閉経後女性(50~79歳、16,608人)を対象としたホルモン補充療法の大規模臨床試験。心臓疾患、股関節骨折、乳癌リスク増大を予防することを期待されたが2002年7月、健康リスクがベネフィットを上回ったため、平均追跡期間5.6年で中止となった。本論は、介入中止後3年(平均2.4)時の追跡調査の結果。JAMA誌2008年3月5日号より。

介入中止後15,730例を追跡




WHI試験は二重盲検プラセボ対照無作為化試験で、結合型エストロゲン(CEE、0.625mg/日)+酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA、2.5mg/日)の合剤(国内未承認)を用いたホルモン補充療法を、1993~1998年の間、40の医療センターで50~79歳、16,608人の女性を対象に投与された。

介入後の追跡試験開始は2002年7月8日、解析対象は15,730例。半年ごとのモニタリングとアウトカムの確認が試験プロトコルに基づき継続された。

主要エンドポイントは、冠動脈性心疾患および侵襲性乳癌。リスクとベネフィットのバランスの全体指標には、他の原因による脳卒中、肺塞栓症、子宮体癌、大腸癌、股関節骨折および死亡に加えて2つの主要エンドポイントも含んで解析された。

心血管イベント以外、リスクがベネフィットを上回る傾向続く




介入後調査期間の心血管イベントリスクは、当初行われた無作為割付で比較できた。結果はCEE+MPA群343イベントで1.97%(年率)、プラセボ群323イベントで1.91%だった。

より悪性であるリスクはプラセボ群[1.26%(n=218)]よりもCEE+MPA群で高く[1.56%(n=281)]、ハザード比は1.24(95%信頼区間:1.04~1.48)。乳癌についても同様の傾向がみられ、プラセボ群0.33%(n=60)に対しCEE+MPA群0.42%(n=79)、ハザード比は1.27(95%信頼区間:0.91~1.78)。全死亡率の傾向も同様。プラセボ群1.06%(n=196)に対しCEE+MPA群1.20%(n=233)、ハザード比は1.15(95%信頼区間:0.95~1.39)。

全体指標のリスクとベネフィットは、無作為化当初から2005年3月31日まで変わらず(ハザード比:1.12、95%信頼区間:1.03~1.21)、CEE+MPA投与のリスクはベネフィットを上回る結果が示された。

この結果を受け、「CEE+MPA群には介入後調査期間中、心血管リスクの増大は観察されなかったが、致命的あるいは非致死性の悪性度の高いリスクが確認された。全リスク指標は12%で、プラセボと比較してCEE+MPAにランダムに割り付けられた女性でより高かった」と結論している。

(朝田哲明:医療ライター)