STEMIへのPCI、バイオリムス溶出性ステントで主要有害心血管イベントリスクが半減

ST上昇型心筋梗塞(STEMI)への経皮的冠動脈インターベンション(PCI)において、バイオリムス溶出性ステントを用いた場合、べアメタルステントを用いた場合と比べて、標的血管に関連する再梗塞などの有害心血管イベント発生率がおよそ半減することが明らかにされた。スイス・ベルン大学病院のLorenz Raber氏らが、約1,200例の患者について行った前向き無作為化比較試験「COMFORTABLE AMI(Comparison of Biolimus Eluted From an Erodible Stent Coating With Bare Metal Stents in Acute ST-Elevation Myocardial Infarction)」の結果、報告したもので、JAMA誌2012年8月22・29日号で発表した。
1年後の心臓死、標的血管に関連する再梗塞などの複合イベントを比較
STEMI患者へのPCIにおける薬剤溶出性ステントとベアメタルステントとの有効性および安全性についてはなお議論が続いている。バイオリムス溶出性ステントは、新規世代の生分解性ポリマー製の薬剤溶出性ステントで、重大有害臨床イベントに関して大規模試験で同じ薬剤溶出性ステントで前世代のシロリムス溶出性ステントと比べ非劣性か良好である可能性が示され、STEMI患者では明確なベネフィットが示唆された。Raber氏らは、バイオリムス溶出性ステントとベアメタルステントとを比較検討するため前向きコホート試験を行った。2009年9月19日~2011年1月25日の間、ヨーロッパとイスラエルの11ヵ所でSTEMIでPCIを行った患者1,157例を対象とした。
研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方の575例にはバイオリムス溶出性ステントを用いたPCIを、もう一方の582例にはベアメタルステントによるPCIを行った。
主要アウトカムは、1年後の心臓死、標的血管に関連する再梗塞、虚血による標的部位再建術の複合イベント発生率だった。
標的血管に関連する再梗塞リスク、バイオリムス群がベアメタル群の0.2倍
結果、主要アウトカムの有害心血管イベント発生率は、ベアメタル群が8.7%(49例)に対し、バイオリムス群は4.3%(24例)と、リスクはおよそ半減した(ハザード比:0.49、95%信頼区間:0.30~0.80、p=0.004)。なかでも、標的血管に関連する再梗塞発生率は、ベアメタル群が2.7%(15例)に対しバイオリムス群は0.5%(3例)と、ハザード比は0.20(同:0.06~0.69、p=0.01)だった。虚血による標的部位再建術の発生率もまた、ベアメタル群が5.7%(32例)に対し、バイオリムス群は1.6%(9例)と、ハザード比は0.28(同:0.13~0.59、p<0.001)だった。
一方で、心臓死発生率は、ベアメタル群が3.5%(20例)に対しバイオリムス群が2.9%(16例)と、両群で有意差はなかった(p=0.53)。
ステント血栓症発生率は、バイオリムス群が0.9%(5例)に対しベアメタル群は2.1%(12例)と、有意差は認められなかったがバイオリムス群で低率の傾向がみられた(p=0.10)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)
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コメンテーター : 中川 義久( なかがわ よしひさ ) 氏
滋賀医科大学 循環器内科 教授
J-CLEAR評議員