CABGの静脈グラフトにおける内視鏡的採取、切開採取と長期アウトカムは同等

冠動脈バイパス術(CABG)の静脈グラフトについて、内視鏡的採取と切開採取では、長期死亡率は同等であることが示された。米国・デューク大学メディカルセンターのJudson B. Williams氏らが、CABGを受けた23万人超を対象とした観察研究で明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月1日号で発表した。静脈グラフトの内視鏡的採取は1990年代半ばから使われているが、その安全性については、近年、疑問が持ち上がっていたという。
メディケア加入の約23万5,000人を中央値3年で追跡
研究グループは、メディケア加入者で、2003~2008年にかけて、全米934ヵ所の医療機関でCABGを行った患者、23万5,394人について観察研究を行った。静脈グラフトの内視鏡的採取と切開採取について、その長期アウトカムを比較。追跡期間中央値は3年で、主要アウトカムは全死亡率だった。また、副次アウトカムとして、合併症および死亡・心筋梗塞・血行再建の複合イベントについても検討した。
全死亡率、死亡・心筋梗塞・血行再建の複合イベント発生率ともに両群で同等
被験者のうち、静脈グラフトの内視鏡的採取を行ったのは52%だった。臨床的特徴について傾向スコアで補正を行った後、内視鏡群の全死亡率は13.2%(1万2,429人)に対し、切開群では13.4%(1万3,096人)と、両群で有意差はなかった。副次アウトカムの、死亡・心筋梗塞・血行再建の複合アウトカムについても、内視鏡群の発生率は19.5%(1万8,419件)、切開群19.7%(1万9,232件)と、両群で同等だった。
また時間事象分析でも、内視鏡群の切開群に対するハザード比は、全死亡が1.00(95%信頼区間:0.97~1.04)、複合アウトカム発生も1.00(同:0.98~1.05)だった。
一方、術部創合併症の発生率については、内視鏡群が3.0%と、切開群の3.6%に比べ、有意に低率だった(p<0.001)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)
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〔CLEAR! ジャーナル四天王(18)〕 安全な内視鏡的大伏在静脈グラフト(SVG)採取には熟練した内視鏡術者が不可欠である
コメンテーター : 許 俊鋭( きょ しゅんえい ) 氏
東京都健康長寿医療センター センター長
J-CLEAR評議員