ガバペンチン、難治性慢性咳嗽の治療に有効/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2012/11/15

 

 難治性慢性咳嗽の治療として、抗てんかん薬ガバペンチンが有効なことが、オーストラリア・ニューカッスル大学のNicole M Ryan氏らの検討で示された。難治性の慢性咳嗽は重篤な症状やQOL障害を引き起こす。難治性咳嗽には中枢性感作に関連する疾患(神経因性疼痛など)との類似性がみられ、神経因性疼痛にはガバペンチンが有効とされる。また、慢性咳嗽に対するガバペンチンの効果を示唆する2つの症例シリーズ研究が知られている。Lancet誌2012年11月3日号(オンライン版2012年8月28日号)掲載の報告。

ガバペンチンの効果をプラセボ対照無作為化試験で評価
 研究グループは、難治性慢性咳嗽患者に対するガバペンチンの有効性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した。

 2008年10月~2010年9月までJohn Hunter病院呼吸器外来(オーストラリア、ニューランブトン)で患者登録を行った。対象は、治療にもかかわらず咳嗽が8週以上持続し、活動性の呼吸器疾患(COPD、未治療の喘息など)や呼吸器感染症がない非喫煙患者とした。

 これらの患者が、ガバペンチン(最大1,800mg/日)を投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。治療期間は10週で、治療開始前に6日かけて増量し、終了後6日かけて減量を行った。

 主要評価項目は、治療8週時の咳嗽特異的QOLのベースラインからの変化とし、Leicester咳嗽質問票(LCQ)スコアで評価した(1.3ポイント以上の変化を「臨床的に意義あり」と判定)。

LCQスコアの変化の差は1.80
 62例が登録され、ガバペンチン群に32例(平均年齢62.7歳、女性63%、平均咳嗽持続期間36ヵ月)、プラセボ群には30例(60.9歳、67%、48ヵ月)が割り付けられた。試験中に10例が脱落し、治療を完遂したのは両群26例ずつだった。

 治療8週時のLCQスコアの臨床的な改善率は、ガバペンチン群が74.1%(20/27例)と、プラセボ群の46.2%(12/26例)に比べ有意に良好であった(p=0.038)。ベースラインからの平均LCQスコアの変化の差は1.80(95%信頼区間:0.56~3.04、p=0.004)で、1例で臨床的改善効果を得るのに要する治療例数[治療必要数(NNT)]は3.58だった。

 副作用はガバペンチン群で10例(31%)、プラセボ群では3例(10%)に認められた。ガバペンチン群は、悪心・胃痛(4例)、めまい(3例)、疲労感(3例)が多かった。

 著者は、「難治性慢性咳嗽の治療として、ガバペンチンは有効性、忍容性ともに良好だった」と結論し、「これらの優れた効果は、難治性慢性咳嗽の発症機序には咳嗽反射に対する中枢性感作の関与があることを示唆する」と指摘する。

(菅野守:医学ライター)