ウルグアイでは禁煙対策の導入により、喫煙率の年間低下率3.3%という良好な効果が得られたことが、同国保健省のWinston Abascal氏らの調査で示された。喫煙者の80%を低~中所得国の住人が占め、高所得国では喫煙率が低下していることもあって、低~中所得国の世界的なたばこ関連疾病負担の割合が増大しているという。人口約3,500万人の南米の中所得国であるウルグアイでは、2005年に包括的な禁煙プログラムが導入され、キャンペーンが実施された。Lancet誌2012年11月3日号(オンライン版2012年9月14日号)掲載の報告。
禁煙キャンペーンの効果を隣国アルゼンチンと比較
研究グループは、ウルグアイにおける禁煙キャンペーンの効果を評価する住民ベースの傾向分析を行った。
対照として、このような禁煙対策を導入していない隣国アルゼンチンのデータを用いた。両国の1人当たりのたばこ消費量、未成年者の喫煙率、成人の喫煙率を調査し、比較した。
世界的なたばこ関連疾病負担が抑制される可能性
2005~2011年に、ウルグアイでは15歳以上の1人当たりのたばこ消費量が年間4.3%ずつ低下したのに対し、アルゼンチンでは年間0.6%増加した(傾向差の検定:p=0.002)。
13歳、15歳、17歳の生徒を合わせた喫煙率は、2003~2009年のウルグアイでは年間8.0%低下したが、2001~2009年のアルゼンチンでは2.5%の低下にとどまった(傾向差の検定:p=0.02)。
2005~2011年に、ウルグアイでは喫煙率が年間3.3%低下し、アルゼンチンでは1.7%低下した(傾向差の検定:p=0.02)。
著者は、「ウルグアイの包括的な禁煙キャンペーンは前例のないほど大きな喫煙の低下効果をもたらした」と結論づけ、「他の低~中所得国でも,ウルグアイと同定度のたばこの使用量の低減が実現されれば、世界的なたばこ関連疾患負担が大きく抑制されると考えられる」と指摘する。
(菅野守:医学ライター)