小児高血圧症の診断見落としは74%

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2007/09/04

 

小児肥満の蔓延に伴って小児高血圧症の有病率が増加している中、診断未確定の高血圧症と高血圧前症の頻度がどれくらいあるのか、また診断見落としはどんな患者因子が原因になっているのかを同定するコホート研究が、米国オハイオ州にあるCase Western Reserve 大学医学部のMatthew L. Hansen氏らによって行われた。JAMA誌8月22日号より。

3~18歳児1万4,000例をスクリーニング


研究対象は、1999年6月から2006年9月までの間に最低3回、定期健診でオハイオ州北東部の総合医療システム附属クリニックを訪れた3~18歳の14,187例。

主要評価項目は定期健診時の血圧測定で、年齢および身長による補正後も高値を3回以上示した小児の割合と、高血圧または高血圧前症と診断され電子カルテに記載された割合。診断に関連する患者因子は多変量ロジスティック回帰分析によって同定された。

3回以上の定期健診で高血圧または高血圧前症の判定基準を満たしたとされる小児は、診断リスト、問題リスト、病歴リストにおける高血圧関連のICD9コードとの比率で判定された。

早めの適切な診断が重要


高血圧症の小児は507例(3.6%)いたが、実際に高血圧症または血圧上昇の診断を受け電子カルテに記録されていたのは131例(26%)だった。

高血圧症診断の補正オッズ比を高めた患者因子は、1年ごとの上昇値(3歳以降の)(オッズ比1.09)、血圧上昇の記録が3回を超えた頻度(同1.77)、身長-年齢パーセンタイル値の1%の増加(同1.02)、肥満に関連した疾患の診断(同2.61)、ステージII高血圧症に該当する血圧記録の数(1.68)だった。

一方、高血圧前症の小児は485例(3.4%)で、55例(11%)は適切に診断され電子カルテに記載されていたが、それ以外は見落とされていた。

高血圧前症診断の補正オッズ比を高めた患者因子は、1年ごとの上昇値(3歳以降の)(オッズ比1.21)、血圧上昇の記録が3回を超えた頻度(同3.07)だった。

Hansen 氏らは、「今回の研究対象(平均年齢8.8歳、50%がアフリカ系アメリカ人)では診断見落としが頻繁に起きていた。診断確率の上昇には、年齢、身長、肥満関連の疾病の診断、血圧の異常記録およびその記録頻度とすべてが関係していた」と述べ、小児の血圧の正常値および異常値は年齢、性別、身長によって異なり基準を覚えるのは難しいが、異常血圧の確立された評価ガイドラインおよび効果的治療が存在するので、早めの適切な診断は重要であると結んだ。

(朝田哲明:医療ライター)