米国内科医の総合医キャリア志向、顕著に減少/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2012/12/18

 

 米国では、慢性疾患増大に伴うゼネラリストとしての内科医不足への懸念から、1970年代に内科プライマリ・ケアプログラムが設けられた。当初は最高90%のプログラム履修者がいたが、最近の調査では、総合医キャリア(general medical careers)を積み上げている内科レジデント卒業生は20~25%にとどまっており、学生にいたっては希望者はさらに少ないことが報告されているという。その状況を明確にするため、米国・メイヨークリニックのColin P. West氏らは、内科研修プログラム別およびレジデントの性別や地域(学校所在地)別でみた総合内科(general internal medicine:GIM)キャリアプランの実態を調べた。JAMA誌2012年12月5日号掲載より。

2009~2011年のレジデントのトレーニング履修状況とキャリア志向を調査
 研究グループは、2009~2011年の各年10月に、Internal Medicine In-Training Examinationとリンクして入手した米国内科レジデントデータを基に、キャリアプランについて、研修プログラム、性、学校所在地による評価を行った。対象は、6万7,207人の内科各専門および内科プライマリ・ケアレジデント卒業生で、そのうち5万7,087人(84.9%)がサーベイ調査に参加・回答した。5万2,035人の人口統計学的データが入手でき(National Board of Medical Examiners)、全サーベイ項目に回答していたのは5万1,390人(76.5%)、最低1項目を回答していた645例(1.0%)を追加して対象とした。

 これら対象サンプルから総計1万6,781人のレジデント卒業生の3年間のトレーニング中のデータを解析に組み込んだ。そのうち、プライマリ・ケアプログラムレジデント卒業生は1,420人(プライマリ・ケア群)、残る1万5,361人は各内科専門プログラム卒業生だった(その他群)。主要評価項目は、彼らが申告した最終キャリアプランとした。

最終キャリアプランとしての申告は21.5%
 全体では3,605例(21.5%)が、最終キャリアプランとしてGIMを申告した。カテゴリー別にみると、プライマリ・ケア群では39.6%、その他群は19.9%だった[補正後オッズ比(AOR);2.76、99%信頼区間(CI):2.35~3.23、p<0.001]。

 一方で、内科各専門キャリアプランを申告したのは、プライマリ・ケア群52.5%、その他群65.3%だった(同:1.90、1.62~2.23、p<0.001)。

 性別にみるとGIMキャリアプランを申告した人は、男性よりも女性のほうが多くみられた(26.7%vs. 17.3%、AOR:1.69、99%CI:1.53~1.87、p<0.001)。また、プライマリ・ケア群のほうが、GIMキャリアプランを申告している割合が多い傾向が認められた(57.3%vs. 27.3%、AOR:3.48、99%CI:2.58~4.70、p<0.001)。プライマリ・ケア群はトレーニング中の最初の年にGIMキャリアを積み始めた人がより多く(68.2%vs. 52.3%、AOR:1.81、99%CI:1.25~2.64、p<0.001)、女性が多く(62.4%vs. 47.2%、AOR:1.75、99%CI:1.34~2.29、p<0.001)、米国人の卒業生が多かった(60.9%vs. 49.2%、AOR:1.48、99%CI:1.13~1.93、p<0.001)。

 以上を踏まえて著者は、「GIMキャリプランの申告は、内科レジデントでは、各専門キャリア申告の中で顕著に少なかった。また性別、学校所在地別、プログラム別による違いが認められた」とまとめている。

(武藤まき:医療ライター)