出生前診断に染色体マイクロアレイ解析を用いた場合、核型分析では非検出の、臨床的意義のある欠失・重複が検出できたことが、4,000人超の妊婦について行った試験の結果、報告された。異数性と不均衡な再配列検出能も核型分析と同等であることが示されたが、核型分析では検出された均衡転座と三倍体は検出できなかったという。米国・コロンビア大学のRonald J. Wapner氏らが行った試験で明らかにされた。染色体マイクロアレイ解析は、出生前の発育遅延や先天奇形評価の主要な診断ツールとなってきたが、これまで、その有効性などを検証した試験は、小規模なものに限られていたという。NEJM誌2012年12月6日号掲載報告より。
29ヵ所のセンターを通じ、4,406人を調査
研究グループは、29ヵ所の出生前診断センターを通じ、妊婦4,406人について調査を行った。妊婦が出生前診断適応となった主な理由は、高齢出産(46.6%)、ダウン症スクリーニングの結果が異常(18.8%)、超音波診断法での奇形(25.2%)、その他(9.4%)だった。
それぞれ妊婦からの検体を2つに分け、核型分析と染色体マイクロアレイ解析を行い、結果を比較した。
核型分析正常の検体の1.6~6.0%で、マイクロアレイ解析により欠失・重複を検出
マイクロアレイ解析は4,340個の検体(98.9%)で成功したが、そのうち58個は核型分析でモザイク型を示したため解析対象から除外し、4,282個を対象に解析結果の比較が行われた。
結果、マイクロアレイ解析、核型分析で検出された異数性と不均衡な再配列がすべて検出されたが、均衡転座と三倍体は検出できなかった。
一方で診断適応の理由別に両分析法の結果をみると、「超音波診断法での奇形」適応群で核型分析では正常であった検体のうち6.0%で、マイクロアレイ解析により臨床的に意義のある欠失または重複が検出された。「高齢出産」適応群では同1.7%で、「ダウン症スクリーニングの結果が異常」適応群では同1.6%で、それぞれマイクロアレイ解析により臨床的に意義のある欠失または重複が検出された。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)