直近10年間で米国では、20歳以上の成人の非屈折性視覚障害者が21%増加しており、原因として同時期に有意な有病率の上昇がみられた糖尿病がリスク因子として関連している可能性を、米国・ジョンズホプキンス大学のFang Ko氏らが報告した。米国では直近10年間で糖尿病や糖尿病性網膜症のような眼の後遺症を伴う慢性疾患の増加が報告されていた。Ko氏らは、糖尿病は視覚障害と強く関連することから、より若い世代で非屈折性視覚障害が増えているのではないかと仮説を立てて検証試験を行った。JAMA誌2012年12月12日号より。
非屈折性視覚障害保有率と全身性リスク因子を1999-2002年と2005-2008年で比較
研究グループは、非屈折性視覚障害保有率を推定し、人口統計学的因子と、糖尿病との診断を含む全身性リスク因子と関連を明らかにすることを目的とし、米国全国健康・栄養調査(NHANES)の入院外患者のデータ(代表サンプルとして1999-2002年9,471例と、2005-2008年1万480例の20歳以上の成人に関する質問表、臨床検査および診察の記録)を用いて検証した。
非屈折性視覚障害は、自動屈折計にて20/40未満(日本の単位で0.5未満)の視力の者とした。主要評価項目は非屈折性視覚障害とした。
糖尿病歴10年以上の人が29%増加、白人では133%増加
結果、20歳以上成人で非屈折性視覚障害加重保有率は、1999-2002年の1.4%から2005-2008年の1.7%に21%増加し(p=0.03)、20~39歳の白人(ヒスパニック系除く)では0.5%から0.7%と40%増加していた(p=0.008)。
多変量解析において、統計的に有意なリスク因子は、1999~2002年では、年齢[年間オッズ比(OR):1.07、95%信頼区間(CI):1.05~1.09)、貧困(同:2.18、1.31~3.64)、無保険(同:1.85、1.16~2.95)、糖尿病歴10年以上(同:1.93、1.15~3.25)であった。2005-2008年は、年齢(同:1.05、1.04~1.07)、貧困(同;2.23、1.55~3.22)、高校未満の教育レベル(同:2.11、1.54~2.90)、糖尿病歴10年以上(同:2.67、1.64~4.37)であった。
診断から10年以上の糖尿病患者は、全年齢総計で2.8%から3.6%へと29%増加していた(p=0.02)。20~39歳の白人(ヒスパニック系除く)では0.3%から0.7%へと133%増加していた(p<0.001)。
(武藤まき:医療ライター)