活動性の全身型若年性特発性関節炎(JIA)へのカナキヌマブ(商品名:イラリス)投与は、症状改善効果と、再び症状が悪化する再燃リスクを減少する効果があることが明らかにされた。イタリア・Istituto Giannina GasliniのNicolino Ruperto氏らが、190人の全身型JIA患者について行った、カナキヌマブに関する2つの第3相臨床試験の結果、報告した。NEJM誌2012年12月20日号掲載より。
試験1では症状の改善、試験2では改善した症状の悪化について調査
Ruperto氏らは2009~2010年にかけて63ヵ所の医療機関を通じ、2~19歳のJIAで活動性の全身症状が認められる患者190人を対象とする2つの試験を行った。
研究グループはまず被験者を無作為に2群に分け、1群にはカナキヌマブ単回皮下投与(4mg/kg)を、もう1群にはプラセボ投与を行い29日間追跡した(試験1)。主要アウトカムは、15日目のJIA・ACR30(JIAコアセット6つのうち3つ以上で改善率30%以上、1つ未満クライテリアでの30%超の悪化、発熱がない)だった。
試験2では、オープンラベルでカナキヌマブ投与(毎4週)を12~32週間受けた後、治療に反応した患者については、グルココルチコイドのテーパリング後、無作為に2群に分け、1群にはカナキヌマブ投与を継続、もう1群にはプラセボを投与した。主要アウトカムは、全身性JIA症状再燃までの時間とした。
カナキヌマブ群の8割以上でJIA・ACR30を達成
その結果、試験1では、JIA・ACR30が認められた人の割合は、プラセボ群が41人中4人(10%)だったのに対し、カナキヌマブ群では43人中36人(84%)と、大幅に高率だった(p<0.001)。
試験2では、被験者のうち無作為化の対象となったのは100人だった。全身性JIAを再燃しなかった人の割合は、プラセボに切り替えた群が25%だったのに対し、カナキヌマブ群では74%と大幅に高率だった(ハザード比:0.36、p=0.003)。
試験開始時点では、グルココルチコイドを服用していたのは128人だったが、うち33%の42人が、服用中止を達成した。
有害事象については、マクロファージ活性化症候群が7例に出現した(試験1で各群1例、試験2のオープンラベルで4例、切り替え後プラセボ群で1例)。またカナキヌマブ群のほうがプラセボ群よりも感染症の頻度が高かった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)