イヌの嗅覚を活かしたC difficile感染症の病棟スクリーニングの可能性/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2013/01/11

 

 オランダ・VU University Medical CentreのMarije K Bomers氏らは、イヌの優れた嗅覚を、便検体および入院患者のクロストリジウム・ディフィシル(C difficile)感染症の検出に活用できることを実証するための試験(principle study)を行った。その結果、感度・特異度ともに高く(便検体では100%)、検出が可能であることが示されたという。BMJ誌2012年12月22日号(オンライン版2012年12月13日号)掲載「クリスマス特集」より。

イヌに嗅ぎ分けを訓練し、便検体および300人の患者で検証
 研究は、ケースコントロール研究デザインの手法を用いて、オランダの2つの教育病院で行われた。

 2歳のビーグル犬にC difficileを嗅ぎ分ける訓練を2ヵ月間行った後、2つの診断精度を検証する試験を行った。

 1つは便検体を嗅ぎ分ける試験で、陽性検体50例と陰性検体50例を用いて行われた。C difficileの匂いを正確に嗅ぎ分けられるかを調べるため、それぞれの検体は異なる材質に貼付し環境や濃度を変えて繰り返し(10回)ビーグル犬に提示された。

 もう1つは、300人の患者を嗅ぎ分ける試験だった。患者は30人がC difficile感染症群、270人が対照群で、トレーナー(患者の感染状態を知らされていない)がビーグル犬を病室に導いて行われた。各病室には、10人の患者(1人が感染症者、9人が対照群)がおり、ビーグル犬は、感染者を見つけたらその場に座るか伏せをするように訓練されていた。

 主要評価項目は、便検体および患者対象の試験におけるC difficile検出の感度と特異度であった。

検出の感度と特異度、便検体は100%・100%、患者は83%・98%
 結果、便検体の試験では、感度、特異度ともに100%(95%信頼区間:91~100)であった。

 患者検出試験では、感染者については30人中25人(感度83%、95%信頼区間:65~94)を正しく嗅ぎ分け、対照群については270人中265人(特異度98%、95%信頼区間:95~99)を正しく嗅ぎ分けた。

 C difficile感染症は、早期かつ迅速に同定し十分な隔離と治療を開始することが感染の拡大を防ぐために重要となる。しかし先行研究によると、症状発現から治療開始までに平均3~8日を要していると報告されていた。本研究の結果を受けて著者は、「イヌがC difficile感染症を検出できるよう訓練することは可能であり、病棟スクリーニングに活用できる可能性がある。そのようなスクリーニングは、よくある診断の遅れを回避し、C difficile感染症のコントロールおよび拡大防止に役立つ可能性がある」とまとめている。