過多月経の治療について、レボノルゲストレル放出子宮内避妊システム(商品名:ミレーナ)(以下、レボノルゲストレル-IUS)は、トラネキサム酸などの従来薬物療法よりも、長期的な改善幅が有意に高かったことが示された。英国・ノッティンガム大学のJanesh Gupta氏らが、600人弱の女性を対象とした無作為化試験の結果、報告したもので、「重度の月経出血によるQOLへの影響を低減する効果が高かった」と結論している。過多月経はよくある問題症状だが、これまで有効な治療に関するエビデンスは限られていたという。NEJM誌2013年1月10日号掲載報告より。
2年間追跡し、その間の過多月経多属性評価尺度を比較
研究グループは2005~2009年にかけて、英国内63ヵ所の医療機関を通じ、過多月経の女性571人を無作為に2群に分け、一方にはレボノルゲストレル-IUSを、もう一方には従来薬物療法(トラネキサム酸、メフェナム酸、エストロゲン-プロゲステロン配合剤、プロゲステロンのいずれか)を行った。
2年間追跡し、その間の過多月経多属性評価尺度(MMAS)を比較し主要アウトカムとした。副次アウトカムには、一般的QOLスコア、性的活動スコア、手術の実施などが含まれた。
症状は両群で改善、レボノルゲストレル-IUS群でより大幅改善
その結果、試験開始時点から6ヵ月までのMMASの平均増加幅は、レボノルゲストレル-IUSで32.7ポイント、薬物療法群21.4ポイントと、両群ともに有意な改善が認められた(いずれもp<0.001)。
これら症状の改善は、両群ともに2年間にわたり維持されたが、レボノルゲストレル-IUS群のほうが薬物療法群より改善幅は大きかった(2年間のMMAS平均格差:13.4ポイント、95%信頼区間:9.9~16.9、p<0.001)。
また、2年後の時点で、レボノルゲストレル-IUSを使用している人の割合は64%であり、薬物療法を継続していた人の割合38%に比べて有意に多かった(p<0.001)。
なお、性的活動スコアや手術率、有害事象発生率については両群で同程度だった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)