米国・カリフォルニア大学医学部のDavid L Schriger氏らは、無作為化試験における連続アウトカムの割合について調査した。臨床研究報告は、高度に選択されたデータサブセットが発表され、ジャーナルの読者に対して全部のデータセットはめったに示されない。Schriger氏らは断面研究の手法にて調査を行い、その結果、無作為化試験の連続主要アウトカムは、獲得したデータのごくわずか(<5%)しか示されていないことが確認されたという。BMJ誌2013年1月12日号(オンライン版2012年12月18日号)掲載の報告。
主要専門20誌の無作為化試験200を検証
研究グループは本検討において、無作為化試験報告の連続アウトカムについて、獲得したアウトカムデータに占める割合を特徴づけること、およびそのことが不完全な報告バイアスへもたらす可能性を評価することを目的とした。
2007~2009年の間のさまざまな専門領域の医学雑誌20冊から、ランダムに選んだ200の無作為化試験を対象とし、記述的断面調査を行った。
主要評価項目は、各論文が報告しているベストな主要アウトカムについて、明確なスコアリングルールを用いた場合に算出される報告データに占める割合とした。たとえば、サンプルサイズが両群ともに100患者、標準偏差報告が6/200(1.5%)、しかし点図表で200ポイントが示され、スコアは200/200(100%)であるなどで、結果の報告に関する2001 CONSORT項目のコンプライアンスについても評価した。
100%データを用いていた論文は17%
結果、ベストな連続主要アウトカムが報告データに占める割合の中央値は9%(範囲:3~26)だった。しかし、サンプルサイズ100患者の条件で調整した場合は、わずかに3.5%(同:3~7)だった。100%のデータを用いていた論文は、17%であった。
表データは、最も頻度の高い提示データを示す手法であった(論文の59%)が、図を利用した報告のほうが、より高いデータを報告していた。
本試験の主要アウトカムおよびCONSORTコンプライアンスに関して、雑誌間のばらつきが大きかった。
著者は、本研究の限界について「影響力の強い雑誌の無作為化試験の連続アウトカムを検討したものにすぎず、結果は、アウトカム別、その他の試験デザイン、またその他の雑誌に適用できない」と言及した上で、「試験担当者は獲得データのごくわずかしか提示していない。こうしたデータの不十分さが、不完全な報告バイアスを増している可能性があり、試験で得られた所見についてすべての関連情報を提示する障壁となっていると思われる」とまとめている。