重症血友病Aに対する第VIII因子製剤投与のインヒビター抗体発生リスク/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2013/01/30

 

 未治療の重症血友病A患児に対する第VIII因子製剤投与のインヒビター(阻害)抗体発生リスクについて調べた結果、全長遺伝子組換え型製剤間で発現リスクの有意な違い(第二世代製剤が第三世代に比べ約1.6倍増大)が示されたことが報告された。一方で、血漿由来製剤と遺伝子組換え製剤、製剤中のフォン・ヴィレブランド因子の含有量、製剤間の切り替えによる同発生リスクの増大はいずれも認められなかったという。オランダ・ユトレヒト大学メディカルセンターのSamantha C. Gouw氏らが患児600人弱について調べた結果で、NEJM誌2013年1月17日号で発表した。これまで未治療の重症血友病A患児に対する第VIII因子製剤の、種類や製剤間の切り替えなどと、臨床的に重要なインヒビター抗体発現リスクとの関連は明らかではなかった。

インヒビター抗体発生の累積発現率は32.4%
 研究グループは、2000~2010年に生まれた重症血友病Aの小児574人(年齢中央値:6.4歳、四分位範囲:4.0~8.9)を対象に、第VIII因子製剤によるインヒビター抗体リスクについて調査を行った。被験者の第VIII因子活性は、0.01IU/mL未満だった。

 その結果、インヒビター抗体が発生したのは、574人中177人(累積発現率:32.4%)だった。そのうち116人は、ピーク力価が5ベセスダ単位/mL以上の高力価阻害抗体が認められた(累積発現率:22.4%)。

インヒビター抗体リスク、血漿由来製剤と遺伝子組換え製剤では同等
 インヒビター抗体発生リスクは、血漿由来製剤と遺伝子組換え製剤では同等だった(遺伝子組換え製剤に対する補正後ハザード比:0.96、95%信頼区間:0.62~1.49)。

 一方、第二世代全長遺伝子組換え型製剤は、第三世代全長遺伝子組換え型製剤に比べ、インヒビター抗体発生リスクは有意に高かった(補正後ハザード比:1.60、同:1.08~2.37、p=0.02)。

 製剤に含まれるフォン・ヴィレブランド因子量や、製剤の変更によるインヒビター抗体発生リスクの増大は認められなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)