生分解性ポリマー・バイオリムス溶出性ステントvs.エベロリムス溶出性ステント/Lancet

生分解性ポリマーを使用したバイオリムス溶出性ステントは、耐久性フッ素ポリマー使用エベロリムス溶出性ステントに対し、安全性や有効性について非劣性であることが、オランダMaasstad病院のPieter Cornelis Smits氏らが行った無作為化対照非劣性試験COMPARE IIの結果、報告された。Lancet誌2013年1月30日号掲載より。
2,700人超を無作為化、術後1年間追跡
研究グループは、2009年1月12日~2011年2月7日にかけて、ヨーロッパ12ヵ所の医療機関を通じ、経皮的冠動脈インターベンションが必要な2,707例(病変4,025個)について試験を行った。被験者は、18歳超で、余命が5年超、術部血管径が2.0~4.0mmだった。被験者は無作為に、生分解性ポリマー使用バイオリムス溶出性ステント(ノボリ、テルモ製)を受ける群(1,795例、2,638個)と、耐久性フッ素ポリマー使用エベロリムス溶出性ステント(Xience V or Prime, Abbott Vascular, Promus, Boston Scientific製)を受ける群(912例、1,387個)に割り付けられた。被験者には、退院後12ヵ月間にわたり、2剤併用療法による抗血小板療法が行われた。主要エンドポイントは、12ヵ月時点の安全性の複合イベント(心臓死、非致死的心筋梗塞)と有効性イベント(目標血管の血行再建)とされた。
12ヵ月のフォローアップを完了したのは、2,688例(99.3%)だった。バイオリムス溶出性ステント群のほうがエベロリムス溶出性ステント群よりも、割り付けられたステント治療を受けなかった患者が有意に多かった[105例(5.9%)対19例(2.1%)、p<0.0001]。
安全性と有効性は同等、長期追跡によるステント血栓症リスク低下の見極めが必要
結果、主要エンドポイントの発生率は、バイオリムス溶出性ステント群は93例(5.2%)、エベロリムス溶出性ステント群は44例(4.8%)と、両群間に有意差はなかった(相対リスク:1.07、95%信頼区間:0.75~1.52、非劣性に関するp<0.0001)。結果は、per protocol解析でも変わらなかった。研究グループは、「バイオリムス溶出ステントのエベロリムス溶出ステントに対する非劣性が認められた」と結論。その上で、今後、より長期に患者を追跡することで、バイオリムス溶出性ステントがエベロリムス溶出性ステントに比べ、ステント血栓症リスクを低下するかどうかを見極めることができるだろうとしている。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)
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〔CLEAR! ジャーナル四天王(62)〕 第二世代ステントの中期成績の比較試験、その名もCOMPARE II
コメンテーター : 香坂 俊( こうさか しゅん ) 氏
慶應義塾大学 循環器内科 准教授
J-CLEAR評議員