早産は小児の罹病率や死亡率を高める主要な要因とされるが、長期にわたる健康や生活の質への影響については明らかにされていない。米国ノースカロライナ州にあるデューク大学医療センターのGeeta K. Swamy氏らのグループは、早産の、生存、生殖、そして次の世代の早産といった長期的な影響を調べる縦断観察研究を行った。JAMA誌2008年3月26日号の報告より。
ノルウェー人の大規模コホートを在胎期間、性別で解析
対象はノルウェーのMedical Birth Registryのデータベースから、1967~88年にかけて生まれた単胎早産児116万7,506例のデータ。
Medical Birth Registryでは2002年まで追跡調査が行われているが、学業達成度と生殖アウトカムを評価するため1967~1976年に生まれた者を抽出し、2004年時点で存命していた約58万例について詳しく解析を行った。
主要評価項目は、性別、出生時の在胎齢と、死亡率、胎児・幼児・小児・青年期の死亡リスク、生殖能力と早産リスクとの関係。全解析の基準群として、在胎期間37~42週の群の性別による死亡率と生殖アウトカムが用いられた。
早産児は低年齢での死亡率が高く生殖アウトカムも低い
早産児のパーセンテージは女児(4.7%)より男児(5.6%)が高かった。また早産児は、幼児期全体を通して高い死亡率を示した。
在胎期間22~27週で生まれた男児の死亡率は、1~5.9歳の小児早期で1.33%(相対危険度:5.3、95%信頼区間:2.0~14.2)、6~12.9歳の小児後期で1.01%(同7.0、2.3~22.0)。一方、22~27週で生まれた女児の死亡率は小児早期1.71%(同9.7、4.0~23.7)、小児後期の死亡例はみられなかった。
また在胎期間28~32週で生まれた男児の死亡率は小児早期0.73%(同2.5、1.6~3.7)、小児後期0.37%(同2.3、1.3~4.1)で、同一在胎期間の女児では、死亡率の有意な増加はみられなかった。
生殖アウトカムは早産群ほど低値を示した。在胎期間22~27週で生まれた者の生殖率は、男性が13.9%(同0.24、0.17~0.32)、女性が25%(同0.33、0.26~0.42)。28~32週で生まれた者の生殖率は、男性38.6%(同0.7、0.66~0.74)、女性59.2%(同0.81、0.78~0.85)。すなわち、早産で生まれた男性より女性のほうが早産児を出産するリスクが高かった。
研究グループは、早産は長期生存と生殖能力の減少が認められると結論し、早産児のケア改善が生存率改善とQOL向上にどのように貢献するかを継続的に研究する必要があると述べている。
(朝田哲明:医療ライター)