大腸がんの診断法としての大腸3D-CT検査(CT Colonography:CTC)について、バリウム注腸造影検査よりも、がん病変や≧10mmポリープの検出能が有意に高いことが、英国・University College LondonのSteve Halligan氏らによる多施設共同無作為化試験SIGGARの結果、報告された。バリウム注腸は大腸がんの診断で広く用いられているが、診断精度や被検者の受容性に対する懸念が示されている。CTCはバリウム注腸と比べると新しい大腸X線検査法で、検出能の感度が高いと考えられ、患者も好むことが試験によって示されているが、これまでCTCをバリウム注腸に代わる診断法とすべきかについて保健政策に反映するような無作為化試験は行われていなかったという。Lancet誌オンライン版2013年2月14日号掲載より。
無作為に2対1の割合に割り付け比較検証
SIGGARは、臨床での症候性大腸がんの診断を想定し、2つの実践的な多施設共同無作為化試験(CTC vs. バリウム注腸、CTC vs. 内視鏡検査)が行われた。
Halligan氏らの試験では、大腸がんと大きめのポリープの検出能についてCTCとバリウム注腸(BE)とを比較することを目的とした。
試験は、英国内21病院から症候性の大腸がんが疑われる患者を集めて行われた。医師から大腸X線検査が指示・紹介された55歳以上の患者3,838例を適格患者とし、コンピュータで無作為に2対1の割合(BE群2,553例、CTC群1,285例)に割り付け検査結果を解析した。
主要アウトカムは、大腸がんまたは≧10mmポリープの診断精度とし、intention to treatにより評価した。
CTCのほうが大腸がんまたは≧10mmポリープの検出率が有意に高い
解析には、了解が得られなかった34例を除外した、BE群2,527例、CTC群1,277例が組み込まれた。
大腸がんまたは≧10mmポリープの検出率は、CTC群(93/1,277例、7.3%)がBE群(141/2,527例、5.6%)より有意に高率だった(相対リスク:1.31、95%信頼区間:1.01~1.68、p=0.0390)。
3年間のフォローアップ中に新たな大腸がんが発見されたのはCTC群3例、BE群12例であった。見逃し率は、CTC群7%(45例のうち3例)、BE群14%(85例のうち12例)であった。
検査後に内視鏡検査が行われた割合は、BE群よりもCTC群が有意に多かった(CTC群283/1,206例・23.5%対BE群422/2,300例・18.3%、p=0.0003)。これは主にポリープの検出率が高かったことに起因していた。なお、重篤な有害事象はまれであった。
これらの結果からHalligan氏らは、「CTC検査はBE検査より感度が高い。今回の試験結果は、CTCが症候性大腸がんが疑われる患者にとって好ましいX線検査であることが示された」と結論づけている。
(武藤まき:医療ライター)