ベルギーでは禁煙法が段階的に導入されたが、その結果、単胎児早産発生率も段階的に減少したことが明らかになったという。ベルギー・Hasselt大学のBianca Cox氏らが、2002~2011年の出生データを元に分析し明らかにしたもので、BMJ誌2013年2月14日号で発表した。受動喫煙が妊娠のアウトカムに悪影響を及ぼすことを示す試験結果は出てきているが、これまで禁煙法が同アウトカムに良い影響を及ぼすことを示した研究はほとんどなかった。
職場、レストラン、バーへと段階的に禁煙法導入
ベルギーでは、2006年に公共の場所と職場で、2007年にレストランで、2010年には食事を提供するバーで、それぞれ禁煙法が施行された。Cox氏らは、2002~2011年にルーチンで集めた出生データについて、ロジスティック回帰分析を行い、禁煙法施行の各段階における、単胎児早産(在胎37週未満の出産)発生率を調べ、比較した。
試験の対象となった単胎児出産(在胎24~44週)60万6,877人で、そのうち自然分娩は44万8,520人だった。自然分娩のうち男児は51.4%、母親の出産年齢中央値は29.5歳、出生順位の中央値は2だった。
主要評価項目は、在胎37週未満の早産の発生割合だった。
早産発生率は年率3%程度減少
分析の結果、自然早産発生率は禁煙法施行後徐々に減少し、2007年1月には同発生率は-3.13%(95%信頼区間:-4.37~-1.87、p<0.01)、2010年以降は年率-2.65%(同:-5.11~-0.13、p=0.04)と、有意に減少した。
自然早産以外のすべての早産についても同様な減少傾向がみられ、2007年1月には早産発生率は-3.18%(同:-5.38~-0.94、p<0.01)、2010年以降は年率-3.50(同:-6.35~-0.57、p=0.02)と、いずれも有意に減少した。
こうした減少傾向は、妊婦年齢、社会経済的状況、出生月、インフルエンザの流行などといった、個人的要因や出産時期による要因、人口全体の要因では、説明できなかった。なお、禁煙法施行前には、早産発生率の減少傾向は認められなかったという。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)