活動性が中等度の関節リウマチ患者には、エタネルセプト(商品名:エンブレル)を中断することなく、従来投与量または低用量+メトトレキサート(同:リウマトレックスほか)の併用投与が、低疾患活動性の維持に有効であることが、オーストリア・ウィーン&ヒーツィング医科大学病院のJosef S Smolen氏らによる「PRESERVE」試験の解析の結果、報告された。同試験は、中等度疾患活動性の関節リウマチ患者において、エタネルセプトの低用量または中断によって低疾患活動性が維持可能かを評価することを目的とした無作為化試験。これまで関節リウマチの治療目標は臨床的寛解と低疾患活動性の維持を基本とするが、患者の多くを占める中等度患者における治療効果は十分に検討されていなかった。Lancet誌2013年3月16日号(オンライン版2013年1月17日号)掲載の報告。
エタネルセプトの中断または低用量が低疾患活動性を維持するかを検討
試験は2008年3月6日~2009年9月9日の間、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アジア、オーストラリアの医療施設80ヵ所で、メトトレキサート(MTX)治療を受けているが中等度疾患活動性[28関節の疾患活動性スコア(DAS28)が>3.2~≦5.1]の18~70歳を登録して行われた。登録適格患者はMTXを毎週15~25mg、最低8週間投与され、続いて36週間のオープンラベル試験期に移り、全患者についてエタネルセプト50mgと毎週のMTXの併用投与が行われた。その後52週間の二重盲検試験期に移り、無作為に3群(エタネルセプト50mg+MTX、エタネルセプト25mg+MTX、プラセボ+MTX)に1対1対1に割り付けられ、低疾患活動性を達成維持可能か検討された。治療割付については、患者、治験担当医、データ分析担当および試験担当者全員が知らされていなかった。
主要エンドポイントは、88週時点での低疾患活動性を達成していた患者の割合で、二重盲検試験期のエタネルセプト50mg+MTX群とプラセボ+MTX群について評価した。条件付き主要エンドポイントでは、エタネルセプト25mg+MTXの低疾患活動性達成患者の割合も評価された。
中断群と比べて50mg群、25mg群は有意に達成を維持
登録患者は834例であり、そのうち二重盲検試験期の適格患者は604例(72.4%)であった(エタネルセプト50mg+MTX群202例、エタネルセプト25mg+MTX群202例、プラセボ+MTX群200例)。
88週時点で、低疾患活動性を達成していた患者の割合は、エタネルセプト50mgを1回以上投与されていた患者においては82.6%(166/201例)を占め、プラセボを受けていた患者の42.6%(84/197例)と比べ有意に高かった(平均差40.8%、95%信頼区間:32.5~49.1%、p<0.0001)。
また、エタネルセプト25mgを受けていた患者においても79.1%(159/201例)でプラセボを受けていた患者よりも有意に高かった(プラセボとの平均差:35.9%、95%信頼区間:27.0~44.8%、p<0.0001)。