off-pump冠動脈バイパス術(CABG)は、on-pumpCABGと比べて、1年後の臨床アウトカムについて有意差はないことが示された。冠動脈血行再建の再施行率についても、両群で有意差は示されなかった。カナダ・マックマスター大学のAndre Lamy氏らが、約4,800例について行った無作為化比較試験「CORONARY」の結果、報告したもので、NEJM誌2013年3月11日号で発表した。CORONARYの結果についてはすでに、30日後の臨床アウトカムについて両群で有意差がないことは発表されていた。
19ヵ国、79ヵ所の医療機関で約4,800例を無作為化
研究グループは、2006~2011年にかけて、19ヵ国、79ヵ所の医療機関を通じて、冠動脈疾患患者でCABGが予定されていた4,752例について試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはoff-pump CABGを、もう一方の群にはon-pump CABGを行うよう割り付けた。
主要複合エンドポイントは、死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中・透析を要する新たな非致死的腎不全の発生率で、無作為化後30日時点、1年後に評価した。また、生活の質(QOL)と認知機能について、退院時、30日時点、1年後に評価した。
1年後の臨床エンドポイント発生率、認知機能、生活の質はいずれも有意差なし
結果、1年後の主要複合エンドポイント発生率について両群で有意差はなく、off-pump群が12.1%で、on-pump群が13.3%だった(off-pump群のon-pump群に対するハザード比:0.91、95%信頼区間:0.77~1.07、p=0.24)。
31日から1年後までの主要複合エンドポイント発生率についても、両群で同等だった(同ハザード比:0.79、同:0.55~1.13、p=0.19)。
また、冠動脈血行再建の再施行率についてもoff-pump群1.4%に対し、on-pump群0.8%であり、両群で有意差はなかった(同ハザード比:1.66、同:0.95~2.89、p=0.07)。
1年後の認知機能、生活の質についても、両群で有意差はなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)