再発寛解型多発性硬化症へのダクリズマブHYP投与、年間再発率を半減/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2013/04/17

 

 再発寛解型多発性硬化症に対し、抗インターロイキン2受容体抗体ダクリズマブ(国内未承認)の4週毎の1年間にわたる単独治療により、年率換算再発率が約50%低減したことが報告された。ドイツ・ルール大学ボーフムのRalf Gold氏らが、600例超を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験「SELECT」の結果で、Lancet誌オンライン版2013年4月4日号で発表した。先行研究で、インターフェロンβ治療抵抗性を示す再発型多発性硬化症に対し、ダクリズマブを併用することで疾患活動度が低下し忍容性も良好であることが示されており、本検討ではダクリズマブの単独長期療法の有効性について検討した。

世界76ヵ所で621例を無作為化、52週間追跡
 研究グループは、2008年2月15日~2010年5月14日の間、チェコ、ドイツ、ハンガリー、インド、ポーランド、ロシア、ウクライナ、トルコ、英国の76ヵ所の医療機関を通じ、18~55歳の再発寛解型多発性硬化症の患者621例について、ダクリズマブ・ハイイールド・プロセス(HYP)の治療効果について無作為化試験を行った。

 被験者を、ダクリズマブHYP150mg投与群(208例)、ダクリズマブHYP300mg投与群(209例)、プラセボ群(204例)の3つの投与群に無作為化し、それぞれ4週間毎の投与を52週間行った。

 主要エンドポイントは、年率換算再発率だった。

ダクリズマブHYPは再発寛解型疾患の治療オプションとなりうる可能性
 52週間の追跡期間を完了したのは、プラセボ群94%、ダクリズマブHYP150mgと同HYP300mg群は92%だった。

 結果、年率換算再発率は、プラセボ群よりもダクリズマブ群で有意に低下した。同値の低下はプラセボ群0.46(95%信頼区間:0.37~0.57)、ダクリズマブHYP150mg群0.21(同:0.16~0.29)、ダクリズマブHYP300mg群0.23(同:0.17~0.31)であり、プラセボ群に比べた年率換算再発率低下率は、ダクリズマブHYP150mg群が54%(同:33~68、p<0.0001)、同300mg群が50%(同:28~65、p=0.00015)だった。

 被験者のうち無再発だった人の割合もダクリズマブHYP群がプラセボ群よりも高率で、ダクリズマブHYP150mg群が81%(p<0.0001)、ダクリズマブHYP300mg群が80%(p=0.0003)、プラセボ群が64%だった。

 なお、重篤な有害事象が発生したのは、ダクリズマブHYP150mg群が15例(7%)、ダクリズマブHYP300mg群が19例(9%)に対し、プラセボ群では12例(6%)だった。

 著者は、「今回得られた所見は、ダクリズマブHYPは再発寛解型疾患の治療オプションとなり得る可能性を支持するものである」と結論している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)