慢性HCV感染患者、新規ヌクレオチドポリメラーゼ阻害薬の上乗せ効果を確認/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2013/05/02

 

 未治療の慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者の治療において、新規ヌクレオチドポリメラーゼ阻害薬ソホスブビルを標準治療であるペグインターフェロンアルファ2a+リバビリン療法に追加すると有効性が改善され、ソホスブビル+リバビリン療法の効果は標準治療に対し非劣性であることが、米国テキサス大学健康科学センターのEric Lawitz氏らの検討で示された。慢性HCV感染患者は世界で約1億7,000万人に及び、年間35万人以上がHCVに起因する肝疾患で死亡しているという。ソホスブビルは、第II相試験で未治療の遺伝子型1、2、3型の慢性HCV感染患者に対する有効性が確認されている。NEJM誌オンライン版2013年4月23日号掲載の報告。

遺伝子型別の2つの第3相試験で評価
 研究グループは、未治療の慢性C型肝炎患者に対するソホスブビル(SOF)の有用性を評価する2つの第3相試験(FISSION試験、NEUTRINO試験)を実施した。

 NEUTRINO試験は、遺伝子型1、4、5、6型のHCV感染患者(98%が1と4型)を対象にSOFとペグインターフェロンアルファ2a(PEG)+リバビリン(RBV)の併用療法(治療期間12週)の評価を行う非盲検単群試験。2012年6月~8月までに米国の56施設から327例(平均年齢52歳、男性64%)が登録された。

 FISSION試験は、遺伝子型2、3型のHCV感染患者を対象にSOF+RBV療法(治療期間12週)とPEG+RBV療法(治療期間24週)を比較する非盲検無作為化非劣性試験。2011年12月~2012年5月までに6ヵ国(米国、オーストラリア、ニュージーランド、イタリア、スウェーデン、オランダ)97施設から499例[SOF+RBV群:256例(平均年齢48歳、男性67%)、PEG+RBV群243例(48歳、64%)]が登録された。

 両試験とも、主要評価項目は治療終了12週後の持続的なウイルス学的著効(SVR)とした。

3剤併用でSVRが90%に、3型には3剤併用が有用な可能性も
 NEUTRINO試験におけるSOF+PEG+RBV療法の治療終了後12週のSVRは90%(95%信頼区間[CI]:87~93)であった。以前の試験で得られた調整済みSVRは60%であり、今回のほうが有効性が有意に優れた(p<0.001)。

 FISSION試験では、SVRは両群ともに67%であった。層別因子で調整後の両群のSVRの絶対差は0.3ポイント(95%CI:-7.5~8.0)で、SOF+RBV群で良好な傾向を認めた。

 補足的な解析でSOF+RBV群のPEG+RBV群に対する非劣性が確認された(p<0.001)。SOF+RBV群では、3型のSVRが56%と、2型の97%に比べ不良であった。

 治療期間中の重篤な有害事象は、SOF+PEG+RBV群が1%(4例)、SOF+RBV群が3%(7例)、PEG+RBV群は1%(3例)に認められた。有害事象による治療中止率はそれぞれ2%(5例)、1%(3例)、11%(26例)だった。

 SOF+RBV群は、PEGを含む群に比べ全般的に有害事象の頻度が低く、とくに疲労感、頭痛、悪心、不眠、貧血が少なく、好中球減少は1例もみられなかった。

 著者は、「SOF+PEG+RBV療法による12週の治療は、主に1型と4型から成るHCV感染患者群で90%という高いSVRを示し、2型と3型のHCV感染患者群ではSOF+RBV療法とPEG+RBV療法の非劣性が確認された」とまとめ、「SOF+RBV療法では3型HCV感染患者のSVRが低かったが、これらの患者は治療期間を延長するか、SOF+PEG+RBV療法を行うことでSVRが改善する可能性がある」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)