新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染、82例の疫学的特性/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2013/05/03

 

 中国疾病予防管理センター(CDC)・公衆衛生緊急センターのQun Li氏らは、2013年4月17日時点で入手できた新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染に関する情報を基に解析した疫学的特性についてまとめ、NEJM誌オンライン版2013年4月24日号に予備報告として発表した。その中で著者らは「H7N9ウイルス感染は中国内6地点で確認され、感染確認患者の多くが非常に重篤であった。疫学的な関連性はなかった」と述べたうえで、「ヒト-ヒト感染について2家族集団でルールアウトはできなかったが、7日間の疾患モニタリングで呼吸器症状を呈した患者の濃厚接触者(1.5%)からウイルスは検出されなかった」と報告している。

H7N9感染者の疫学情報を分析、患者の濃厚接触者についても7日間モニタリング
 新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染事例の疫学的特徴をまとめるためのフィールド調査は、H7N9感染が確認された症例(リアルタイムRT-PCR法、ウイルス分離、血清学的検査による)を対象とした。特定された患者の人口統計学的特性、曝露歴、病状変化の情報を入手した。

 また、患者の濃厚接触者について7日間にわたり疾患症状についてモニタリングした。症状を発現した人には咽頭スワブを行い、H7N9ウイルスの有無をリアルタイムRT-PCR法にて調べた。

入院81例の死亡率は21%、発症から死亡までの中央値は11日
 3月25日以降4月17日現在までにH7N9ウイルス感染が確認されたのは82例であった(原因不明の肺炎による入院患者664例のうち)。症例患者は、平均年齢63歳(範囲:2~89)、男性が73%、84%が中心都市の住民だった。

 症例が確認されたのは6地点で、上海市(確定31例、疑い1例)、浙江省(確定25)、江蘇省(確定20、疑い1)、安徽省(確定3)、河南省(確定2)、北京市(確定1)であった。

 解析データを入手できた77例のうち、4例が鶏肉を扱う労働者であった。また77%(59例)が生きた動物との接触歴があり、そのうち鳥との接触歴があったのは76%(45例)だった。次いでイヌが20%(12例)、ブタは7%(4例)だった。

 症例患者の発症から初診までの期間中央値は1日で、入院までは同4.5日だった。

 入院例は、小児1例を除く81例で、そのうち4月17日現在、17例(21%)が死亡、発症から死亡までの期間中央値は11日であった。また、60例は予断の許さない状況が続いている。退院例は4例でいずれも症状が軽度であった。

2家族集団のヒト-ヒト感染はルールアウトできず
 家族集団の検討は4月17日現在、2行政区3家族で行われ、そのうち2家族のデータが解析可能であった。この2家族について、H7N9ウイルスのヒト-ヒト感染はルールアウトできなかった。
 一方で、7日間の疾患モニタリングが完了したのは、患者の濃厚接触者1,689例のうち1,251例で、そのうち呼吸器症状の発症がみられたのは19例(1.5%)であったが、H7N9ウイルスは検出されなかった。

(武藤まき:医療ライター)

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コメンテーター : 小金丸 博( こがねまる ひろし ) 氏

東京都健康長寿医療センター 感染症内科専門部長

J-CLEAR推薦コメンテーター