シタグリプチン、2型糖尿病の全原因入院・死亡に影響せず/BMJ

DPP-4阻害薬シタグリプチン(商品名:ジャヌビア、グラクティブ)は、新規に治療を開始した2型糖尿病患者において、他の血糖降下薬に比べ全原因に起因する入院や死亡のリスクを増大させないことが、カナダ・アルバータ大学のD T Eurich氏らの調査で示された。DPP-4阻害薬の安全性に関するベネフィットは、いくつかのプール解析で示されている。一方、実臨床におけるあらゆる原因に起因する入院や死亡などの広範なアウトカムに及ぼすシタグリプチンの影響を評価した大規模試験はこれまでなかったという。BMJ誌オンライン版2013年4月25日号掲載の報告。
臨床アウトカムに及ぼす影響を後ろ向きコホート試験で評価
研究グループは、新規に治療を開始した2型糖尿病患者において、シタグリプチンが臨床アウトカムに及ぼす影響を評価するレトロスペクティブな地域住民ベースのコホート試験を実施した。米国の商業的な医療保険申請と研究所の総合的なデータベースを用い、2004~2009年の間に経口抗糖尿病薬の服用を開始した2型糖尿病患者を抽出した。これらの患者を、死亡、医療保険の終了または2010年12月31日まで追跡した。
主要評価項目は、全原因に起因する入院および死亡の複合エンドポイントとし、時間依存的なCox比例ハザード回帰分析を行った。
現行の勧告を支持するエビデンス
7万2,738例(平均年齢52歳、男性54%、虚血性心疾患の既往歴11%、糖尿病関連合併症の既往歴9%)が解析の対象となった。シタグリプチンの服用者は8,032例(11%)(52歳、57%、11%、10%)で、そのうち7,293例(91%)は現行のガイドラインのとおり、他の経口薬への追加治療としてシタグリプチンを併用投与されていた。1万4,215例(20%)が複合エンドポイントを満たした。シタグリプチン服用者の全原因入院・死亡率は非服用者と同等であった(調整ハザード比[HR]:0.98、95%信頼区間[CI]:0.91~1.06、p=0.63)。
虚血性心疾患の既往歴を有する患者(調整HR:1.10、95%CI:0.94~1.28)および腎機能が低下した患者(推定糸球体濾過量<60mL/分)(調整HR:1.11、95%CI:0.88~1.41)においても、シタグリプチン服用者と非服用者の間に複合エンドポイントの発生率の差を認めなかった。
著者は、「新規に治療を開始した2型糖尿病患者において、シタグリプチンは他の血糖降下薬に比べて全原因に起因する入院や死亡のリスクを増大させない」と結論づけ、「これらの観察的データはシタグリプチンの安全性に関するエビデンスをもたらし、本薬剤を患者の必要に応じて使用する付加的治療薬と規定する現行の勧告を支持するもの」と指摘している。
(菅野守:医学ライター)
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シタグリプチンの安全性評価-入院および死亡のリスクを検討(コメンテーター:吉岡 成人 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(100)より-
コメンテーター : 吉岡 成人( よしおか なりひと ) 氏
NTT東日本札幌病院 院長
J-CLEAR評議員