下肢蜂窩織炎の再発予防を目的としたペニシリン投与は、再発リスクをおよそ半減することが示された。ただしその効果は投与期間中においてであり、投与中止後は徐々に漸減した。英国・ノッティンガム大学病院のKim S. Thomas氏らが、274例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌2013年5月2日号で発表した。
ペニシリンを12ヵ月投与し、3年間追跡
Thomas氏らは、英国およびアイルランドの28病院を通じて、下肢蜂窩織炎を2回以上発症した患者274例を対象に試験を行った。同グループは被験者を2群に分け、一方にはペニシリン(250mg、1日2回)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ12ヵ月間投与した。
主要アウトカムは、初回再発までの期間だった。追跡期間は3年間であった。
下肢蜂窩織炎再発に関する、ペニシリン投与の必要治療数は5
初回再発までの期間の中央値は、プラセボ群が532日に対し、ペニシリン群では626日だった。
予防投与期間中に再発した人の割合は、プラセボ群が138例中51例(37%)だったのに対し、ペニシリン群は136例中30例(22%)と、およそ半減した(ハザード比:0.55、95%信頼区間[CI]:0.35~0.86、p=0.01)。下肢蜂窩織炎の再発予防1件に対する必要治療数は、5(95%CI:4~9)であった。
しかし、ペニシリン投与を中止して以降は、両群の同再発率はいずれも27%と、群間差は認められなかった(p=0.78)。
全追跡期間でみると、再発件数はプラセボ群が164例に対し、ペニシリン群が119例と有意に少なかった(傾向のp=0.02)。内訳をみると、最初の12ヵ月間の再発件数はプラセボ群が122例に対し、ペニシリン群が76例であり(p=0.03)、その後の追跡期間ではそれぞれ42例と43例だった(p=0.88)。
有害事象については、プラセボ群が48例に対しペニシリン群が37例と、両群間に有意差はみられなかった(p=0.50)。