骨粗鬆症治療薬のテリパラチド(商品名:テリボン、フォルテオ)とデノスマブ(同:プラリア)について、併用して用いると、それぞれを単独かつ承認最大用量で用いた場合よりも骨密度が有意に増大することが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のJoy N Tsai氏らによる、閉経後骨粗鬆症患者を対象としたオープンラベル無作為化試験の結果で、「併用療法は骨折リスクの高い患者に対する治療として有用である可能性がある」と報告した。ここ数十年で骨粗鬆症の治療薬は選択肢が拡大したが、骨粗鬆症が進行した患者の骨を完全に正常に回復することは困難で、また重症患者の治療オプションはなお課題とされている。これまでの併用療法による治療改善の検討は、大半が不成功に終わっていた。テリパラチドについてもビスホスホネートとの併用による治療の改善は示されなかった。Lancet誌オンライン版2013年5月15日号掲載の報告より。
テリパラチド単独、デノスマブ単独、併用群を比較
研究グループは2009年9月~2011年1月に、45歳以上の閉経後骨粗鬆症女性を登録し、テリパラチド単独療法(20μg/日)とデノスマブ単独療法(60mgを6ヵ月毎)の各単独療法と、併用療法(両方を投与)を比較する無作為化試験を行った。被験者は、脊椎、股関節部または大腿骨頸部のTスコアが-2.5未満、またはTスコアが-2.0未満で骨密度(BMD)に対する独立リスク因子(50歳以後の骨折歴、喫煙など)が1つ以上ある、またはTスコアが-1.0未満で脆弱性骨折歴ありを適格条件とする骨折リスクが高い患者であった。
0、3、6、12ヵ月時点でBMDを測定し評価した。評価は修正intention-to-treat解析にて、ベースライン後1回以上BMDを測定した被験者を組み込んで行われた。同条件を満たした適格患者は100例のうち94例(94%)であった。
腰椎、大腿骨頸部、股関節のBMDいずれも併用群が各単独群よりも有意に増大
12ヵ月時点で、後方-前方腰椎BMDは3治療群とも有意に増大したが、併用群が9.1%(SD 3.9)と、テリパラチド単独群6.2%(同4.6)、デノスマブ単独群5.5%(同3.3)よりも有意に増大した(p=0.0139、p=0.0005)。
大腿骨頸部BMDも同様の結果が示され、併用群(4.2%、SD 3.0)がテリパラチド単独群(0.8%、SD 4.1、p=0.0007)、デノスマブ単独群(2.1%、SD 3.8、p=0.0238)よりも有意に増大した。股関節総BMDも同様の結果が示された[併用群4.9%(SD 2.9)、テリパラチド単独群0.7%(SD 2.7、p<0.0001)、デノスマブ単独群2.5%(SD 2.6、p=0.0011)]。