乳児への経口ビタミンD投与について、投与3ヵ月時点で乳児の97.5%以上で血中25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]値が75nmol/L以上を達成するための投与量は、1,600 IU/日であることが明らかになった。400~1,200 IU/日では、同目標は達成できなかった。一方で、ビタミンDの1600 IU/日投与を続けると、血中25(OH)D値は上昇を続けて250nmol/L以上となり、高カルシウム血症リスクを増大する可能性があることも明らかになった。カナダ・マックギル大学のSina Gallo氏らが、乳児132例を対象に行った二重盲無作為化試験の結果で、JAMA誌2013年5月1日号で報告した。現状では乳児へのビタミンD投与は、血中25(OH)D値40~50nmol/Lを目標に400 IU/日とするとされているが、健康な骨をつくるには75~150 nmol/Lの投与が望ましいとする意見もあるという。
生後1ヵ月の母乳保育児を11ヵ月追跡
Gallo氏らは2007年3月~2010年8月にかけて、カナダのケベック州モントリオールで、生後1ヵ月の健康な母乳保育児を対象に、前向き二重盲検試験を行った。研究グループは被験者を無作為に4群に分け、経口ビタミンDを400 IU/日(39例)、800 IU/日(39例)、1,200 IU/日(38例)、1,600 IU/日(16例)をそれぞれ投与した。追跡期間は11ヵ月だった。
主要アウトカムは、投与開始3ヵ月時点での血中25(OH)D値75nmol/L以上の乳児の割合97.5%以上を達成することだった。
全投与群で、被験者の97%以上が血中25(OH)D値が50nmol/L以上
その結果、3ヵ月時点で25(OH)D値が75nmol/L以上だった乳児の割合は、400 IU/日群が55%、800 IU/日群が81%、1,200 IU/日群が92%、1,600 IU/日群が100%であり、主要アウトカムの97.5%を達成したのは1,600 IU/日群のみだった。その後1,600 IU/日投与については、血中25(OH)D値が増え続け、250nmol/Lを超えたため、予定より早期に投与を中止し、400 IU/日を12ヵ月まで投与した。
投与後12ヵ月時点では、いずれの投与群も97.5%に達しなかった。
副次アウトカムの血中25(OH)D値が50nmol/L以上の乳児の割合については、すべての群で3ヵ月時点で97%を達成し、12ヵ月時点でも98%を維持していた。
乳児の成長や骨塩量については、群間の有意差は認められなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)