帝王切開の短期的アウトカム、手法の違いによる有意差はない/Lancet

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2013/06/07

 

 帝王切開を行う際に、子宮の一層または二層縫合といった手法の違いによって、術後6週間の短期的アウトカムに有意な差はみられないことが示された。UK Medical Research CouncilとWHOとによる「CORONIS試験」の結果で、Lancet誌オンライン版2013年5月28日号で発表した。帝王切開の手技は複数あるが、これまで無作為化試験による厳格な検討は行われていなかったという。本検討は、いずれの手術が母体および出生児のアウトカム改善と関連しているのかについて調べることを目的とした。

帝王切開の5カテゴリーについて、2つの方法を無作為に割り付け
 研究グループは、2007年5月20日~2010年12月31日にかけて、アルゼンチン、チリ、ガーナ、インド、ケニア、パキスタン、スーダンの医療機関19ヵ所を通じて、合計1万5,935例の妊婦について、非レギュラー型一部要因に関する無作為化非盲検試験を行った。

 比較は次の5つのカテゴリーと手法について行われた。(1)腹部切開の際の鈍的または鋭的エントリー、(2)子宮修復を行う際、露出か腹腔内か、(3)子宮の一層または二層縫合、(4)腹膜(骨盤と膣壁)の縫合または非縫合、(5)子宮修復におけるクローミック腸線またはポリグラクチン910の使用、についてで、被験者は無作為に、いずれかの組み合わせの技術に割り付けられた。

 主要アウトカムは、術後6週間後診察時の死亡、母性感染症罹患率、追加的手術の実施、1単位超の輸血、の複合アウトカム発生率とした。

いずれの手法でも、6週間アウトカムに有意差なし
 結果、5カテゴリーのいずれについても、主要アウトカムに有意差はみられなかった。具体的には、(1)鈍的または鋭的エントリーのリスク比は1.03、(2)露出か腹腔内かのリスク比は0.96、(3)一層または二層縫合のリスク比は0.96、(4)縫合または非縫合のリスク比は1.06、(5)クローミック腸線またはポリグラクチン910のリスク比は0.90だった。

 一方、重大有害事象の報告は144例で、そのうち手術に関する報告と思われたのは26例だった。重大有害事象の大半は、手術あるいは帝王切開の既知の合併症だった。

 これらの結果を踏まえて研究グループは、「帝王切開の手技の違いによって、短期的アウトカムについて有意差はなかった」と結論。そのうえで、長期的アウトカムにも違いがないかについて調べるため、長期追跡の必要性について言及した。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)