ラクナ梗塞患者の二次予防目的とした血圧目標値は<130mmHgが有益:SPS3/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2013/06/07

 

 ラクナ梗塞を最近(180日以内)発症した患者に対し、収縮期血圧目標値130mmHg未満とする血圧コントロールは「有益であり支持される」ことを、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のOscar R Benavente氏らがSecondary Prevention of Small Subcortical Strokes(SPS3)試験の結果、発表した。SPS3試験は米国NIH-NINDSの資金提供の下、ラクナ梗塞患者の二次予防を目的に、抗血小板療法および今回発表した血圧管理についてそれぞれ2つのアームを検討した国際共同オープンラベル無作為化試験で、抗血小板療法については先に発表されている。血圧管理は、血圧を下げることは脳卒中予防に結びつくが、脳卒中再発予防の至適目標値は不明であったことから、高値群(130~149mmHg)と低値群(<130mmHg)を設定し、再発への影響を調べたものであった。Lancet誌オンライン版2013年5月29日号掲載の報告より。

収縮期血圧目標値130~149mmHg群vs. <130mmHg群に無作為化し検討
 SPS試験は、北アメリカ、ラテンアメリカ、スペインに居住する、MRIで症候性ラクナ梗塞が確認された患者を対象とした。2003年3月~2011年4月の間に集められた患者は無作為に、収縮期血圧目標値130~149mmHg(目標高値群)または同<130mmHg(目標低値群)に、2×2多因子デザインにて割り付けられ追跡を受けた。

 主要エンドポイントは、全脳卒中(脳梗塞、脳出血含む)の減少とし、intention to treat解析にて評価した。

全脳卒中は低下するも有意差はみられず、一方で脳出血は有意に低下
 3,020例が登録され、目標高値群に1,519例が、低値群に1,501例が割り付けられた。追跡期間は平均3.7(SD 2.0)年、患者の平均年齢は63(SD 11)歳であった。

 追跡1年時点における各群の収縮期血圧平均値は、目標高値群が138mmHg(95%信頼区間[CI]:137~139)、低値群が127mmHg(同:126~128)だった。

 追跡期間中の初回脳卒中再発の発生は277例だった。そのうち243例(86%)が脳梗塞だった。

 解析の結果、目標低値群の全脳卒中(ハザード比[HR]:0.81、95%CI:0.64~1.03、p=0.08)は減少したが有意差は認められなかった。同様の結果は、身体障害となるまたは致死的脳卒中(同:0.81、0.53~1.23、p=0.32)、心筋梗塞または血管性死亡の複合アウトカム(同:0.84、0.68~1.04、p=0.32)でもみられた。

 一方で、脳出血の発生率は有意な低下がみられた(同:0.37、0.15~0.95、p=0.03)。

 また治療関連の重篤な有害事象の発生はほとんどみられなかった。

 以上の結果を踏まえて試験グループは、「脳卒中の低下は有意ではなかったが、最近のラクナ梗塞患者において、収縮期血圧目標値を130mmHg未満とすることは有益であり、その指標を使用することを支持する」と結論している。

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コメンテーター : 桑島 巖( くわじま いわお ) 氏

J-CLEAR理事長

東都クリニック 高血圧専門外来