エンテロウイルス71(EV71)ワクチンの有効性と安全性、免疫原性について検討した第3相無作為化試験の結果、有効性は高く、安全性は良好で、免疫原性の維持が確認されたことを、中国・江蘇省疾病管理予防センター(CDC)のFeng-Cai Zhu氏らが報告した。EV71感染症は1974年に疾患報告されて以降、世界的に手足口病(HFMD)と関連した発生が、とくに乳幼児で多く報告され、過去10年では600万例以上の感染、2,000例以上の死亡が報告されているという。不活化アラムアジュバントEV71ワクチンは中国で開発され、成人および小児を対象とした第1相、第2相試験で安全性と免疫原性が確認されていた。今回の第3相試験は乳幼児を対象に、EV71と関連した疾患予防を目的とした評価が行われた。Lancet誌オンライン版2013年5月29日号掲載の報告より。
6~35月齢児1万245例をワクチン接種群とプラセボ群に無作為化
第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験は、中国国内4施設において健常6~35月齢児を対象とし、無作為に1対1の割合で、ワクチン接種群とプラセボ(ミョウバンアジュバント)群に割り付け行われた。ワクチンは、0、28日に接種され、試験担当者および被験児と保護者には、割り付け情報は知らされなかった。
主要エンドポイントは、サーベイランス期間中(56日~14ヵ月)のEV71関連のHFMD発生およびEV71関連の疾患とした。解析は事前に規定した集団について行われた。
1万245例が登録され、5,120例がワクチン接種群に、5,125例がプラセボ群に割り付けられた。
ワクチン有効性、EV71関連手足口病には90.0%、EV71関連疾患には80.4%
主要有効性解析の結果、ワクチン接種群(4,907例)のEV71関連HFMD発生は3例、EV71関連疾患の発生は8例であった。プラセボ群(4,939例)の発生はそれぞれ30例、41例であった。
ワクチンの有効性は、EV71関連HFMDに対しては90.0%(95%信頼区間[CI]:67.1~96.9、p=0.0001)、EV71関連疾患に対しては80.4%(同:58.2~90.8、p<0.0001)であった。
重大有害事象の報告は、ワクチン接種群1.2%(62/5,117例)、プラセボ群1.5%(75/5,123例)で有意差はみられなかった(p=0.27)。有害事象の発生も両群で有意差はなかった(71.2%vs. 70.3%、p=0.33)。