薬物溶出ステントの安全性はベアメタルステントと同等か:メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2007/09/27

 

(超)遠隔期のステント内血栓が問題となっている薬物溶出ステント(DES)だが、死亡率はベアメタルステント(BMS)と同等とするメタ解析がLancet誌9月15日号に掲載された。ドイツUniversity of BernのChristoph Stettler氏らが、ネットワークメタ解析と呼ばれる手法を用いて解析した結果だ。

約20,000例のデータを解析




ネットワークメタ解析とはAとBを比較したデータ、BとCを比較したデータを用いてAとCの比較まで行うメタ解析である。サンプル数が増えるという利点がある。


さて、Stettler氏らはDESとBMSを比較した無作為化試験38件、18,023例のデータを用いて解析を行った。DESはシロリムス溶出ステント(SES)とパクリタキセル溶出ステント(PES)に分けて解析している。


その結果、死亡リスクはBMS、SES、PES間に有意差はなかった。一方、心筋梗塞リスクはSESで有意に低く、相対リスクはBMSに比べ0.81(95%信頼区間:0.66-0.97、p=0.030)、対PESで0.83(95%信頼区間:0.71-1.00、p=0.045)だった。また内視鏡か剖検で確認された留置後1~4年間のステント内血栓のリスクも、BMSに比べPESでは1.43倍、SESは3.57倍となっていたが、いずれも有意な増加ではなかった。一方、各試験のプロトコールに従ったステント内血栓のリスクはBMSに比べ、PESで20.02と有意(p=0.0001)に増加していた。SESでもリスク増加は5.82と著明だったが、統計的に有意ではなかった(95%信頼区間:0.88-76.89)。またSES、PESとも責任病変部位血行再建術再施行のリスクはBMSより有意に低く、SESとPESを比較するとSESで有意に低かった。

現実が反映された解析なのか




これらよりStettler氏らは、SESはPESやBMSよりも臨床的に有用であると結論するが、同号に掲載された論評では、対象となった臨床試験ではDESが現実に頻用されている高リスク病変ではなく低リスクに用いられている場合が多い、内視鏡・剖検で確認される血栓は臨床的に見られるステント内血栓の一部でしかない可能性などを指摘し、本解析の結論に疑問を呈している。

(宇津貴史:医学レポーター)