アスピリンの定期的な服用は、BRAF野生型の大腸がんリスクを3~5割ほど減少する一方、BRAF変異の大腸がんリスクについては減少しなかったことが明らかにされた。米国・ダナファーバーがん研究所のReiko Nishihara氏らが、米国看護師健康調査などの参加被験者13万例弱を対象とした調査で明らかにしたもので、JAMA誌2013年6月26日号で発表した。
総数約317万人・年、大腸がん患者1,226例について分析
研究グループは、1980年以降の看護師健康調査と1986年以降の医療従事者追跡調査の被験者について、隔年の質問票を基に、大腸がんリスクがアスピリン服用の有無および
BRAFがん遺伝子の変異により異なるかどうかを調べた。被験者のがん罹患率については2006年7月1日まで、がん死亡率については2012年1月1日まで追跡した。
被験者数は12万7,865例、総数316万5,985人・年だった。その間に大腸がんを発症し、その分子情報が得られたのは1,226例だった。
アスピリン定期服用者、BRAF野生型の大腸がんリスクは0.73倍
結果、アスピリンの定期的服用者は、非服用者に比べ、
BRAF野生型の大腸がんリスクが3割弱低下した(多変量ハザード比:0.73、95%信頼区間[CI]:0.64~0.83/年齢補正後の罹患率格差:-9.7/10万人・年、95%CI:-12.6~-6.7)。同関連は、腫瘍PTGS2発現型、
PIK3CAあるいは
KRASの変異型にかかわらず、同様に認められた。
一方、アスピリンの定期的服用は、
BRAF変異の大腸がんリスク減少との関連はなかった(多変量ハザード比:1.03、95%CI:0.76~1.38/年齢補正後の罹患率格差:0.7/10万人・年、95%CI:-0.3~1.7)。
さらに毎週14錠超のアスピリンを服用する人は、非服用者に比べ、
BRAF野生型の大腸がんリスクが半分以下に減少した(多変量ハザード比:0.43、95%CI:0.25~0.75/年齢補正後の罹患率格差:-19.8/10万人・年、95%CI:-26.3~-13.3)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)