医療の一環としてプラセボ治療を行うことに患者は好意的/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2013/07/17

 

 医療の一環としてプラセボ治療を行うことに対して、多くの患者は好意的な考えを持っていることが、米国・国立衛生研究所(NIH)のSara Chandros Hull氏らによる電話サーベイの結果、報告された。米国では近年、臨床においてプラセボ治療が行われていることが調査によって明らかにされたという(たとえば内科とリウマチ医の調査で半数がプラセボを処方していることが判明したなど)。こうした動向に対しHull氏らは、他国で行われたプラセボ治療についての調査で、患者自身は特定の状況下であればプラセボ治療に寛容であることが示されたという報告を受けて、米国患者のプラセボ治療の使用に対する考え方を調査した。BMJ誌オンライン版2013年7月2日号掲載の報告より。

プラセボ治療について、患者1,598人を対象に電話インタビュー
 先行研究で、プラセボ治療は、いわゆるプラセボ効果を期待して行われているが、処方内容には差異があることも示されたという。また、プラセボ治療を倫理的に問題とする声があるほか、米国の診療ガイドラインでは、患者が認識していないプラセボ治療は禁じられている。そのような背景を踏まえて研究グループは、米国患者のプラセボ治療の使用に対する考え方を調査した。

 調査は、1回の電話サーベイで、カリフォルニア北部の住民で、HMO(健康維持機構)のカイザーパーマネント加入者を対象とした。被験者は、18~75歳で、6ヵ月以内に1回以上、慢性疾患でプライマリ・ケアサービスを受診していた。

 1,800人に郵送で案内をしたあと、電話をかけ、1,598人にインタビューができた。そのうち312人からは回答を拒否された。

「医師がプラセボ治療を推奨することは受け入れられない」21.9%にとどまる
 有効回答率は、全被験者については53.4%(853/1,598人)、電話が通じた人については73.2%(853/1,165人)だった。

 大方の回答者(50~84%)は、医師がプラセボ治療を推奨することについて、治療の有効性や安全性、治療目的についての医師の確信レベルにより、また治療の透明性が患者に説明される状況下であれば、容認できると判定していた。

 医師がプラセボ治療を推奨することは受け入れられないとした人は、回答者のうち21.9%にとどまった。

 回答者は、医師のプラセボ治療の考えについて好意的であり、かつ正直さを評価していた。また、不透明なプラセボ使用は患者と医師との関係性を徐々に蝕んでいく可能性があると確信していた。

 著者は、「今回の調査で患者の多くは、プラセボ治療の考えには好意的であると思われ、正直さと透明性を評価していた。このことは、臨床意思決定場面において、医師はプラセボ効果を目的とした治療の妥当性についての意見とその有用性について、患者と十分に話し合うべきであることを示唆している」と結論している。

(武藤まき:医療ライター)