急性静脈血栓塞栓症(VTE)へのアピキサバン(商品名:エリキュース)投与は、従来レジメンによる治療法と比べ、症候性VTE再発やVTE関連の死亡について非劣性が認められ、出血リスクも半減することが示された。イタリア・ペルージャ大学のGiancarlo Agnelli氏らによる、5,000例超を対象に行った無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2013年7月1日号で発表した。
アピキサバンとエノキサパリン+ワルファリンを比較
研究グループは、5,395例の急性静脈血栓塞栓症(VTE)の患者を無作為に2群に分け、一方にはアピキサバン(1日2回、10mgを7日、続いて5mgを6ヵ月)を、もう一方には従来レジメンであるエノキサパリン(商品名:クレキサン)12時間ごと、1mg/kgを5日以上とワルファリン6ヵ月の治療を行い、アピキサバンの非劣性を検証した。
主要評価項目は、症候性VTEの再発またはVTE関連の死亡とした。安全性に関する主要評価項目は、重大出血単独と、重大出血と臨床的に関連する非重大出血の統合イベントとした。
重大出血・非重大出血の統合イベントリスク、アピキサバン群が0.44倍
その結果、主要評価項目の発生は、従来治療群は2,635例中71例(2.7%)だったのに対し、アピキサバン群は2,609例中59例(2.3%)だった。相対リスクは0.84(95%信頼区間[CI]:0.60~1.18)、リスク格差(アピキサバン群-従来治療群)は-0.4ポイント(同:-1.3~0.4)だった。事前に規定した95%CI上限値(相対リスク:<1.80、リスク格差<3.5ポイント)をいずれも下回っており、アピキサバン群の従来治療群に対する、症候性VTEの再発またはVTE関連の死亡に関する非劣性が示された。
さらに、安全性の評価について、重大出血と臨床的に関連する非重大出血の統合イベント発生率は、従来治療群の発生率が9.7%だったのに対し、アピキサバン群では4.3%だった(相対リスク:0.44、同:0.36~0.55、p<0.001)。その他の有害事象については両群で同程度だった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)