2006年3月から公共の屋内における喫煙が原則的に禁止された英国スコットランドでは、学童の受動喫煙が有意に減少していることがUniversity of EdinburghのPatricia C Akhtar氏らによるCHETS研究の結果、明らかになった。同研究報告はBMJ誌オンライン版9月9日付、本誌9月15日号に掲載された。
両親が喫煙しなければ子供にメリット
CHETS(Changes in child exposure to environmental tobacco smoke)研究では、禁煙法制定前の2006年と施行後2007年における小学校最終学年の学童による受動喫煙量の変化を比較した。喫煙量の測定には唾液サンプル中のニコチン代謝物(コチニン)濃度を用いた。2006年には2,403サンプル、2007年にも2,270サンプルが提出された。
その結果、2006年には0.35ng/mLだったコチニン濃度(幾何平均値)は0.21ng/mLへと有意(p<0.001)に低下し、検出されない学童数の割合も20%から34%に増加した。ただし親の喫煙環境別に比較すると、両親とも非喫煙者、または父親のみが喫煙者の場合、子供のコチニン濃度は有意(いずれもp<0.001)に低下していたが、両親または母親が喫煙者の場合、コチニン濃度は低下しても有意とはならなかった。
公共禁煙による家庭内喫煙の増加は見られず
この研究では調査表を用いて、同じ空間にいる人間の喫煙を目撃した学童数を、場所別に調べている。興味深いことに、家庭内で喫煙を目にする学童の数は禁煙法施行の前後で変化していなかった。公共の空間が禁煙になっても家庭での喫煙者は増えなかったと筆者らは理解している。
結論として同氏らは、禁煙法による子供の受動喫煙減少を評価しながらも、親による家庭内喫煙を減らすべく、さらなる努力が必要だと述べている。
(宇津貴史:医学レポーター)