前立腺がんの治療として根治的前立腺摘除を受け、再発リスクの高い人が、大豆蛋白質を主成分とするサプリメント(大豆プロテイン)を毎日服用しても、2年までの生化学的再発リスクを低下する効果はなかったことが示された。米国・イリノイ大学シカゴ校のMaarten C. Bosland氏らが、約180例について行った、プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、JAMA誌2013年7月10日号で発表した。これまでの観察研究から、大豆の摂取が、前立腺がんの発症または再発リスクを減らすことは示唆されていた。しかし、実際に前立腺がんをエンドポイントとした無作為化試験において、同効果は実証されていなかったという。
術後4ヵ月から2年間、大豆プロテイン飲料を毎日摂取
研究グループは、1997年7月~2010年5月にかけて、全米7ヵ所の医療機関を通じ、前立腺がんによる根治的前立腺摘除を受け、再発リスクが高い177例の男性について、試験を行った。
被験者を無作為に2群に分け、一方には大豆蛋白質の粉末20gを飲料に混ぜたサプリメントを投与し(87例)、もう一方の群はプラセボとしてカゼインカルシウムのサプリメント飲料を投与した(90例)。服用は術後4ヵ月以内に始め、2年後まで続けられた。
主要評価項目は、術後2年以内のPSA値0.07ng/mL以上で規定した前立腺がんの生化学的再発率と、再発までの期間だった。
効果がみられず試験は中断、前立腺がん再発率は全体の28%
本試験は、治療効果が上がらないために、途中で中止となった。
介入群81例、プラセボ群78例の結果を集計したところ、試験開始2年以内に前立腺がんの生化学的再発が認められたのは、全体の28.3%だった。
そのうち介入群は22例(27.2%)、プラセボ群は23例(29.5%)だった。再発に関するハザード比は、0.96(95%信頼区間:0.53~1.72、ログランク検定のp=0.89)と、両群間で有意差は示されなかった。
服用のアドヒアランスは90%超で、明らかな有害作用は認められなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)