2006年に公共の屋内における喫煙を禁じる法律が施行された英国スコットランドでは、非喫煙者の受動喫煙量が40%近く減少することが、英国NIHのSally J Haw氏とLaurence Gruer氏の調査で明らかになった。BMJ誌オンライン版9月9日付、本誌9月15日号に掲載された。
受動喫煙量が4割減少と推測される
本研究では喫煙禁止前の2006年と禁止後2007年、無作為に抽出した16~74歳の住人に調査依頼を郵送し、受諾した家庭に赴き聞き取り調査を行った。2006年は1,815人、2007年には1,834人から聞き取り調査を行い、それぞれ627人と592人の非喫煙者から唾液サンプルの提供を受けた。
その結果、受動喫煙量の指標となる唾液中ニコチン代謝物(コチニン)濃度は、2006年の0.43ng/mLから0.26ng/mLへと相対的に39%、有意(p<0.001)に低下した。またコチニンが検出されない人の割合も11.3%から27.6%にまで増加した。
ただし、同居人に喫煙者がいる場合、コチニン濃度の低下は有意ではなくなっていた。また当然だが、非喫煙者の家庭における同居人の喫煙率は2006年と2007年で有意な差はない。
聞き取り調査では、家庭および車内の喫煙制限について意見を聞いているが、公共の屋内における喫煙禁止後は禁止前に比べ、そのようなプライベートな場における喫煙を全面あるいは部分的に禁じていると答えた非喫煙者が1.49倍に増えていた(p<0.001)。しかし筆者らは、プライベートな場における受動喫煙を減らすには、禁煙させるのが最も効果的だろうと述べている。
公共の屋内における禁煙法がこれほどの効果をもたらすことが明らかである以上、わが国の健康増進法25条に一日も早く罰則規定を設けるべきだろう。
(宇津貴史:医学レポーター)