3cm以上の肝細胞癌には、ラジオ波焼灼療法(RFA)と肝動脈化学塞栓療法(TACE)が併用されてきたが、生存のベネフィットは明らかではなかった。そこで中国・済南市のQilu Hospital School of MedicineのBao-Quan Cheng氏らが、各療法の単独施行と併用療法とを比較検討した。JAMA誌2008年4月9日号より。
中国内の291例を対象に3療法の経過を3年余観察
本研究は大きな肝細胞癌を有する患者に対するTACE-RFA併用療法と、TACE単独療法あるいはRFA単独療法を行った場合の生存率を比較するため、2001年1月から2004年5月の間、中国内の一施設において、3cm以上の肝細胞癌をもつ患者291例を、無作為にTACE-RFA併用療法(n=96)、TACE単独療法(n=95)、RFA単独療法(n=100)に割り付け、継続的に観察した。
初期エンドポイントは生存率、副次的エンドポイントは客観的奏功率とした。
生存期間、生存率、奏功率ともTACE-RFA併用療法が有利
中央値28.5ヵ月間の追跡調査の間、生存期間中央値はTACE単独群(3.4コース)が24ヵ月、RFA単独群(3.6コース)は22ヵ月、TACE-RFA群(4.4コース)は37ヵ月だった。
TACE-RFA併用療法を受けた患者群の総生存率は、TACE単独群(ハザード比:1.87、95%信頼区間:1.33~2.63、P<0.001)、RFA単独群(1.88、1.34~2.65、P<0.001)より良好だった。
また、単結節肝細胞癌患者に絞って解析した場合もRFA単独群(2.50、1.42~4.42、P=0.001)よりTACE-RFA併用群が、多結節肝細胞癌患者の場合もTACE単独群(1.99、1.31~3.00、P<0.001)よりTACE-RFA併用群のほうがいずれも生存率は高かった。
少なくとも6ヵ月間維持された客観的奏功率は、TACE-RFA併用群が54%で、TACE単独群35%(rate difference:0.19、95%信頼区間:0.06~0.33、P=0.009)、RFA単独群36%(0.18、0.05~0.32、P=0.01)のいずれもより高かった。
Cheng氏らは「腫瘍径3cm以上の肝細胞癌患者の生存率改善には、TACEとRFAを併用したほうが、それぞれ単独で施行するより優れている」と結論づけている。
(朝田哲明:医療ライター)